「千円の中には、500円はいくつある?」娘に割り算を教えた数日後、千円札を渡すと…【半分こ】/意味がわかると鳥肌が立つ話⑬

文芸・カルチャー

公開日:2023/8/31

意味がわかると鳥肌が立つ話』(蔵間サキ:編著、toai:絵/Gakken)第13回【全13回】

累計460万部を突破した「5分後に意外な結末」の公式ライバルシリーズ「5分後の隣のシリーズ」より、『意味がわかると鳥肌が立つ話』をお届け。一見何気ない物語のようだけど、意味がわかると、その意外な展開に思わずゾワっと鳥肌が…。怖いだけではなく、感動や笑いなど、さまざまなタイプのショートストーリーを収録。読み進めるうちにどんどんはまっていく……「鳥肌」エピソードをお楽しみください。

【怖い場面あり、苦手な人は閲覧注意!】

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意味がわかると鳥肌が立つ話
『意味がわかると鳥肌が立つ話』(蔵間サキ:編著、toai:絵/Gakken)

半分こ

「ママー、割り算ってなぁに?」

 娘の美羽が駆け寄ってきた。さっきまで小学生の姉が宿題をしている隣で遊んでいたが、構ってくれないのであきてしまったようだ。まだ小さい娘に、どうやって割り算を説明すればいいのだろう? 少し悩んだが、よい例を思いついた。

「ママが、美羽ちゃんにアメを10個あげたとするわね。それをお友だちのマリちゃんと2人で半分こにすると、1人何個になるかな?」

 美羽の口が、開きっぱなしになる。考え中の様子だ。

「……5コ!」

「すごいね、正解よ!」

 にこやかにほめると、美羽は大喜びした。

「これが割り算だよ。割り算は、あるものを、2つとか3つに分けることなんだよ」

 美羽は、嬉しそうに姉のいるほうへと走っていった。

 

「合計で500円です」

 美羽に勉強を教えた数日後、美羽と2人で買い物をした。財布の中から千円札を取り出し、美羽に渡して聞いた。

「千円の中には、500円はいくつある?」

 美羽にはまだ難しいとも思ったが、美羽は大きな声で答えた。

「2つ」

「じゃあ、お店の人に渡してちょうだい」

 次の瞬間、娘の行動を見て、自分の教え方が悪かったと反省した。

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