大人になるにつれ希少になっていく目的も意味もない遊びの中に、創造の原点が隠されている/美術の進路相談⑤

文芸・カルチャー

公開日:2023/9/27

美術の進路相談』(イトウハジメ/ポプラ社)第5回【全5回】

「絵を描くことを仕事にしたい」と思っている、美術大学や専門学校への進学を考えている人は必見! 大学の教壇に立ち美術を教えているイトウハジメ氏が執筆した『美術の進路相談』は、画家や漫画家、イラストレーターなど、絵を描く職業についての解説はもちろん、絵を描き続けるために大切なポイントをマンガやイラスト、文章でわかりやすく紹介します。昔は絵を描いていたけどが今は描かなくなった人や、絵を描かないけど鑑賞することは好きな人など、美術を趣味にしている人にもおすすめです!

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美術の進路相談
『美術の進路相談』(イトウハジメ/ポプラ社)

大人になったら「見方」が変わる

美術の進路相談

 15歳の頃、すでに天性の描写力で一枚の絵画を描き上げたピカソ。

 誰よりも早く美術の世界で成熟した彼は、成長と共に自らのスタイルを壊し、新しい一枚へ闘いを挑むように向き合いました。それは、「子どものように描きたい」という彼の「見方」への挑戦でした。

 彼ほどのスピードで「見る力」を育て磨いた人物は稀有ですが、彼の抱いた子どもの目への羨望は、きっと誰しも経験があることでしょう。人の目は、成長するのです。だから、物事に対する見方や判断は、同じ人物をとってみても、大人と子どもで大きく異なるといえます。

 時間は前にしか進みませんが、「あの頃のように見ることができたら」と、ピカソのように思いを馳せてみましょう。子どもの頃より、「美しい」と感じるものは増えたでしょうか。あの頃、見えなかったものが見えるようになったでしょうか。私たちの目は濁ったのでしょうか。それとも磨かれたのでしょうか。

 大人になるにつれ、目も成長し、多くの人の「見方」は変わります。その「見方」は、私たちの人生の歩み方を養分にしているにちがいありません。

美術の進路相談

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