高校生ライトノベル・コンテスト開催決まる! ―ブンガク!【第18回】―
公開日:2014/1/16
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~ブンガク部~
「みなさん、おはようございます」
「あ、おはよう、唯ちゃん」
「はい、あと、あけましておめでとうございます」
「うん、あけましておめでとうございます」
「ところでほかの皆さんは?」
「ああ、そういえば、兄さん達は確か……」
「あ、二人とも来ていたの、おはよう!」
「おはようございます!」
「あれ、先輩達はいないのか?」
「ああ、そのことなんですけど……」
「そのこと?」
「あ、はい。実は受験の関係で兄さんと今川先輩はしばらく部活を休むそうです」
「え、ええ~!?」
「だって、もうすぐ二人は卒業も近いですし、だから進学する大学の体験入学に今日は行きましたよ」
「え、先輩達いつから、受験なの!?」
「多分、時期的にもうすぐだとは思いますけど……」
「マジで、せめてどこの大学を受けるのかは聞いてないの!?」
「えーと、とりあえずは近くの大学とは聞いてはいます。けど、どこかまでは、その……」
「あの先輩方もその辺で、質問攻めで直斗君も困っていますよ」
「……あ、ごめん」
「まあ、僕は大丈夫だけど、みなさんのほうも大丈夫ですか?」
「あ……うん。ああ、そうか、先輩方もそんな時期なんだよね、なんか寂しいな」
「そうだよな、俺も部に入って日は短いけどあの先輩たち、そういえばもう三年生だものね」
「知らなかったとはいえ、考えては見てみるべきでしたね……」
「……ああ、えと、みなさん、なんか暗いですよ。なんていうか、その、とりあえず、まず明るく行きましょうよ。まずは桜井先輩と石田先輩……想像してみてください(※1)」
「俺ら?」
「てか、ビブリア古書堂(※1)?」
「ビブリア古書堂/想像してみてください」(※1)
『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延/アスキーメディアワークス)
鎌倉の片隅で営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主・篠川栞子は初対面の人間とは口もきけない人見知りで接客業を営む者として心配になる女性だが、古書の知識は並大低ではなく、本に人一倍の情熱を燃やす。新人店員・五浦大輔と共にいわくつきの古書に秘められた秘密を解き明かしていく。「想像してみてください」とは栞子が言う台詞の一つ。シリーズ累計の発行部数が470万部を突破した超人気シリーズで、2013年には主演・剛力彩芽でTVドラマ化され話題となったた。
「いいから、まずは……想像してみてください」
「あ、うん」
「お、おう」
「兄さんたちが卒業しても何も悪いことばかりではありません。おそらく三年生たちが卒業を迎えれば、その後の部を支えるのは誰だと思いますか?」
「……あっ!」
「そうです。必然的に桜井先輩と石田先輩が引き継ぐことになるでしょうね。そう考えてみれば二人からすればこれはある意味、メリットにもなると思うんです。もちろん部を引き継ぐ立場ですからメリットばかりとは行きませんけど……」
「そっか、次、俺らやんか!?」
「やっべ~! 考えてなかった!?」
「そうですよ、だから先輩たち落ち込んでいる暇なんかありませんよ。三年生の先輩方のためにもここはがんばらないと、でないと兄さんたちに笑われちゃいますよ」
「……そうだよな、直斗! ここで俺らがウジウジしていても仕方ないもんな」
「後輩にここまで言われちゃ格好がつかないし、がんばってみようかな」
「はい、がんばって……」
「うおおお、よし! なんか感動したぞ、後輩君!」
「は、はい?」
「俺らはこれからのブンガク部の為に人間的経験値を上げようと思う、なのでちょっとエルダー・テイル(※2)の世界でマラソンしてくる!」
「エルダー・テイル」(※2)
『ログ・ホライズン』(橙乃 ままれ/エンターブレイン)
老舗オンラインゲーム「エルダーテイル」の世界に日本人ゲーマー3万人が閉じ込められてしまう。モンスターとの戦いや味を失った食料そして死ぬことのない境遇の中「剣と魔法の世界」は「現実」に変わっていく。混乱続くエルダーテイルで、<腹ぐろ眼鏡>で<引きこもり体質>の主人公・シロエが、旧友直継、美少女暗殺者アカツキらとともの世界を変える冒険をはじめる!小説投稿サイト「小説家になろう」の連載作品で、2011年より単行本が刊行、2013年にはTVアニメがスタートした。
「え、何故にエルダー・テイル!? てか、俺らって?」
「では行ってくる! 行くぞ、智樹!」
「な、なんで僕まで~!? タ~ス~ケ~テ~!!」
~二年生たちが部室からログアウトしました~
「……い、いってらっしゃいませ~」
「あはは……なんか、ちょっと説得に失敗したような気がする」
「そうですね……それとあの人たちの行動もよく分からないです」
「やあ、ごきげんよう。そしてあけおめ~! あれ、二人だけ!?」
「あ、先生。おはようございます」
「あ、おはようございます」
「はい、二人ともおはよう!」
「今日はどうしたんですか、先生?」
「実はね。二人に良い話があるんだ。このチラシを見てごらん!」
「ん?」
「……高校生ライトノベル・コンテスト?」
「こ、これは!?」
「あ、唯ちゃん気づいた。前に僕が高校生のときに応募して大賞を受賞したコンテストなんだよね。まあ、当時は高校生・小説コンテストだったけど。今年からラノベの賞が追加されたんだ」
「そうだったんですか」
「へえ、知らなかった」
「あのさ、このコンテストに二人とも出てみない?」
「出れるんですか!?」
「ああ、まあね。なんせ新しい賞だから今、参加者を募集しているって知り合いから僕に連絡が入ったんだよ、どうする?」
「えーと……」
「私やります、私やりたいです!! それと直斗君もやるでしょう?」
「じゃあ、直斗君も良いかい?」
「……そうですね、唯ちゃんが出るなら僕も出たいです、お願いします!」
「うん、じゃあ、決まりだね。じゃあ、応募しとくね!」
「よろしくお願いします!!」
「よかったね、唯ちゃんコンテストに応募できて」
「それを言うなら直斗君もですよ。お互い良い作品を作りましょうね」
「うん、そうだね」
「じゃあ、さっそく……ん?」
ピロロロ~ン♪ ピロロロ~ン♪ ピロロロ~ン♪
「あれ、電話ですね? もしもし……」
……つづく
次回予告
「あけましておめでとうございます、中島優斗です」
「あけましておめでとうございます、今川凜子です」
「今頃、部のみんなはどうしてるかな」
「そうだね、でも私たちも今は進学のほうをがんばらなくちゃね」
「そう言われれば確かに、では……」
「次回の『ブンガク!』もお楽しみに! 今年もよろしくお願いします!」
「……あれ、そういえばさ、僕らの出番って今日はこれだけ?」
「かもね!」