「まずは雑談から」は通用する? 相手によっては、場をなごませるはずが逆効果に!/ヨイショする営業マンは全員アホ⑦

ビジネス

公開日:2020/12/16

きれい事一切なしの超実践型、現場営業論! 「最初の雑談はすっ飛ばしてもいい」「お客様の信頼を失う行為」など、著者が営業マンとして現場で気づいた“売れる”人間力を生み出す39の法則から、一部を抜粋してご紹介。

ヨイショする営業マンは全員アホ 1%だけが知っている禁断の法則
『ヨイショする営業マンは全員アホ 1%だけが知っている禁断の法則』(宋 世羅/飛鳥新社)

最初の雑談はすっ飛ばしてもいい

 営業マン向けの書籍やセミナーには、営業中の雑談についてのノウハウがよく語られていますが、はっきり言って綺麗事ばかり。実際の現場では使えないことが非常に多いです。営業における雑談の現実とそのノウハウについて、実際のところをお話ししていこうと思います。

 

 雑談において大事なことは二つあります。

 まず一つ目がタイミング。いつするのかということです。

 教科書通りにいくと「まずはじめに雑談をしましょう」というのが答えかと思います。いきなり商品の提案や本題の話をしてしまうと引かれてしまうので、お客様との距離を近くするために、雑談でアイスブレイクをしましょうということですね。

 実は、これは理想論のおままごとちゃんです。私の経験上、通用しないことが結構あります。

 お客様が優しくて最初から聞く態勢ができているのであれば、はじめから雑談に乗ってきてくれるとは思いますが、そうじゃないお客様も現実問題としてかなりいます。

 特に、経営者やビジネス感覚が強めの人は「早よ、要件言えや」といった感じの人も多いですし、そもそもどこの馬の骨かも分からない初対面の営業マンと、雑談をする気なんてさらさらないというような人もいます。

 こういう人たちに対して、教科書通りに「まず雑談をしましょう」と始めてしまうと、レッドカードで一発退場となってしまうのです。

 

 こういった雑談を受け入れる雰囲気がない相手の場合は、いきなり本題を話すのがいいと思います。要するに、雑談はすっ飛ばして、本題を切り出す時の勢いや雰囲気であったり、しっかり内容を相手に示すことで、営業マンとしてのキレや戦闘力を見せつけるわけです。

 言い方は少し悪いかもしれないですけど、最初にそこで一回折っておかなければ、スタートの土台にすら立てないということが少なくありません。

 だから、こういった難しいお客様を相手にする時は、いきなり自分の最強の必殺コンボを叩き込んでください。そこで自分の戦闘力を認めてもらえれば、話を進めることができるようになります。

 

 はじめに他の営業マンとの違いを出して「こいつとだったらちょっと話す価値はあるな」と思っていただければ、「お前、この仕事やって何年だ?」といったふうに、お客様のほうから雑談を切り出してくれることもあります。

 極端な例で言えば、いきなり本題から入って、契約まで終わって初めてお客様と雑談になるというパターンもあります。なので、雑談のタイミングはいつだと決めてかからないほうがいい。

 もちろん、最初からスムーズに雑談ができるならそれでいいのですが、実際はそうはいかない人が結構いるので、相手によって変えていく必要があります。

 

お客様を笑わせるネタをストックせよ

 次に大事なのが、雑談の目的を意識すること。ただ単純に、お客様と趣味の話をわちゃわちゃすればいいというわけではなくて、どんな目的で雑談をするのかを考えてなければ意味がありません。

 雑談の目的はいくつかあるのですが、一つは「お客様と打ち解ける」ことです。

 そのために最初に狙いに行くのは、お互いに笑い合う状況をつくることです。

 人間関係において、距離を一気に縮めることができる一番の行為は、同じタイミングで笑い合うこと。なので、まずは全力でお客様を笑わせに行きましょう。

 

「笑わせに行く」と聞くとハードルが高いイメージを持たれる方が多いと思いますが、そこは準備でなんとでもなるというのが私の持論です。

 どういうことかと言うと、私であれば、これだけ営業していると、もうお客様から第一印象で言われることって、大体決まってくるんですよね。

 一番多いのが「なんか、いかにも営業マンぽいですね」とか「背が高いですね」とか。本当にもう2000万回ぐらい言われているんですけど、そのように自分が持たれているイメージをデータとしてストックしておいて、それに対する返答をあらかじめつくっておくわけです。

 

 たとえば、お客様から「いかにも営業マンって感じですね」と言われた時に、私がどう返答してるかと言うと、

「それだったらまだいいですよ。この前、若い女性のお客様と面談した時にプテラノドンに似てるって言われましたから」

「プテラノドンって知ってます? ジュラシックパークとかに出てくる空飛ぶ恐竜っす」

 と、こんな感じです。

 その時のお客様の反応はだいたい何パターンかに分かれます。

 一番多いのが「ん?」という感じですね。笑っていいのかなというような感じで、堪えていることが一番多いですけど、そこで「今、堪えてません?」と畳み掛ける。

 

 この返答のパターンも五つぐらいあって、お客様のタイプによって使い分けています。さらに言うと、私の返答に対する反応によって、畳み掛ける方法も何パターンも準備しています。

 これまでの営業で経験してきた、返答の仕方やたとえ話は全部ストックしておいてください。その準備をしておけばなんとでもなるので、まずはお互いが笑うというベストの状態を狙いに行きましょう。

 

「先生、教えてください」のパターン

 ただし、中には雰囲気的に笑わせるのが難しそうなお客様ももちろんいます。これは全然無理だなと、こうなった時にどうやって距離を縮めに行くかと言うと、共通の話題で仲よくなるというやり方があります。

 これは、営業本やしょうもないセミナーでも言われてることですが、実際の現場でもめっちゃ効きます。共通の話題で盛り上がると、確実に距離が縮まるんですね。なので、笑わせることができなそうなら、共通の話題を探しにいきましょう。

 とはいえ、この共通の話題すら見つからないという場合もあると思います。たとえば、男性でバリバリ体育会営業マンの私とは真逆の女性のお客様が目の前に座っていて、共通の話題が何もない。さらに、笑わせる雰囲気でもないというような状況で、最後にやる手段が「先生、教えてください」パターンです。

 たとえば、その私と真逆のお客様の職業がネイリストだとしましょう。なおさら自分の専門外で、全然分かりません。そんな時に使えるのが「〇〇って実際どうなんですか?」という、先生教えてくださいパターンなんです。

 要するに、相手の土俵であるネイルを題材に雑談をしに行くわけですが、ここにもまた営業マンのセンスが出てきます。

 センスがない営業マンは、「実際、両手ネイルしたらどれくらいかかるんですか?」みたいなことを、聞いてしまう。美容に興味がなさそうなバリバリ男性の私みたいな営業マンがそれを言うと、お客様は「全然興味ないくせに、無理やり近寄ろうとして話しかけてきているな」と感じてしまうはずです。

 では、どう聞けばいいかというと、たとえば、

「やっぱり美容系のお仕事をしている方って、私のような営業マンと対面した時にも、相手の爪や髭を気にして見られたりするものなんですか?」

 というように、専門外の美容のことを聞いているんだけども、本当に自分が知りたくて聞いていそうなことを質問するんです。

 教えてくださいパターンは、無理やり感やウソっぽさが出ちゃうとまずい。なので、一見興味がなさそうな相手に寄った題材であっても、自分にとって本当に興味のあることを聞くことがポイントです。

 

自慢話は、必ず自虐ネタの後に

 先ほど、雑談の目的を意識しろと言いました。一つ目の目的はここまでご説明してきた「お客様と打ち解ける」ということですが、二つ目が「営業マンの権威性を上げる」というものです。

 

 お客様と趣味の雑談で盛り上がって話しやすくなるのはもちろんいいことなのですが、それだけで終わってしまっている営業マンが多いと思います。でも、それはもったいない。

 できれば、この雑談中に営業マンの権威性を上げることを狙いに行きましょうというのが、二つ目の目的です。

 どういうことかというと、雑談中にお客様に「この営業マン、優秀かもしれない」とか「この営業マン、ちょっと普通と違うな」というイメージをつけてしまうのです。

 どうすればそれができるのか。結論から言うと「いやらしくない程度に、自虐ネタの最中に自慢を入れる」という方法があります。

 たとえば、先ほどのプテラノドンのくだりで言うと、

「私は女性のお客様からプテラノドンに似てるとよく笑われるんですが、その割に女性のお客様は結構満足して保険加入していただけるんですよ」

 みたいな感じに言うんですね。これ、「プテラノドンみたいな見た目をして笑われる」という自虐ネタの後に、「満足して入っていただけるお客様が多い」という自慢を入れています。

 

 私が言いたいのは、自慢をする時は最低でも必ず自虐ネタの後にしましょうということ。今、自虐ネタを入れずに自慢ばかりする営業マンが、大量発生してるんですよね。特に保険業界には「俺、トップセールスだから」「会社でこれだけ成績を出していて」みたいな、お客様が聞いてないような自慢をごちゃごちゃ言う奴がたくさんいます。

 たしかに、言ったもん勝ちという側面も、あるっちゃあります。そんなに営業マンと接していないお客様からすると、「この人はトップセールスマンなんだ」と真に受けて、それだけですごいと思ってしまうことも現実問題としてはあります。

 ですが、私の印象だと、この「言ったもん勝ちブランディング」はもう5万年前にはすでに終わっていて、今はなかなか通用しないという感覚があります。なので、もし自慢するのであれば、必ず自虐ネタを言ってから。

 もしくは、少しでもいやらしさが伝わりそうなリスクや危険性があるのであれば、別に雑談でイキる必要はないので、権威性を上げること自体を放棄してしまっても構いません。

<第8回に続く>

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