自分のコンプレックスになっている性格をわが子に見たとき、親は子どもの「強み」をどう受け入れる?

出産・子育て

公開日:2021/7/10

子どもの心を強くする すごい声かけ

著:
出版社:
主婦の友社
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 テストで失敗したり、大事な試合でミスしたり、お友だちと喧嘩したり…子どもたちの心というのはなにかとダメージをうけて傷つきやすい。親としてやさしく励ましたつもりが「自分には無理!」と逆ギレされてしまうことも…。そんなとき親がかけるのにふさわしい「声かけ」ってあるの?

「ストレスに弱い、自信がない、すぐあきらめる子でも大丈夫! 心が弱いと思える子ほど、親の声かけでどんどん変わります」というのは、書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』(主婦の友社)の著者・足立啓美先生。ポジティブ心理学の専門家である足立先生によれば、親は子どもが抱いたネガティブ感情を否定せず、「(それを)どう受け止め、どう声かけをするか」に注意するといいそう。その結果次第で「レジリエンス」(=逆境や困難で折れたりへこんだりしても、そこから立ち直るしなやかな心の強さ)を育てることができるといいます。

 本稿では、本書から一部抜粋して、「強みを発見し、それを意識した声かけをする」ことについてご紹介します。

子どもの心を強くする すごい声かけ
『子どもの心を強くする すごい声かけ』(足立啓美/主婦の友社)

 ネガティビティ・バイアス以外にも、強みが見えなくなる目隠しが親の目をあざむくときがあります。それは、「自分の受け入れがたい性格を無意識に子どもに見たとき」です。

 たとえば、私は自分の恥ずかしがりやなところが嫌いで、受け入れるのが難しい時期がありました。その影響のせいで、娘が新しい場所に慣れるのに時間がかかる姿を目の当たりにしたときに「なんとかしなければ!」と、弱みをなくすアプローチを試行錯誤した経験があります。しかしあるとき、「私自身の受け入れられていない特性を、私は娘に見ているんだ」と気がつきました。それからは、娘の行動を謙虚さのあらわれだと認識して、彼女の強みの一つであると、受け入れられるようになりました。

 このように、自分のコンプレックスになっている性格をわが子に見たとき、親は受け入れることが難しくなりがちです。しかし、娘の例のように、実はその性格は「強み」のあらわれである可能性もあるわけです。コンプレックスのバイアスで子どもを見ていないか? よく考えて、もう一度、新たな意識で子どもを観察してみてください。

 そのために、強みを発見する三つのポイントを次にお伝えしておきます。

 

強み発見ポイント① 「うまくできる×何度もする×エネルギーが湧く」に注目

 強み研究の第一人者でもあるイギリスの心理学者、アレックス・リンレイ博士は「強みとは、単にうまくできるもののことではない。自分らしく感じ、エネルギーが湧いてきて、最大限の力を引き出し、高い成果をもたらすもののことである」と言っています。

 また、メルボルン大学(オーストラリア)のリー・ウォーターズ博士は、子どもが「うまくできること(得意)」「何度もすること(頻度)」「エネルギーが湧くこと(熱意)」の三つが重なるところに、強みがあるといいます。これは、性格的な強みに限らず、スキル的な強みを発見するときにも使える方法です。この三つのうち、一つでも欠けると「強み」の決め手に欠けます。たとえば、「得意でうまくできるけど、やると疲れてしまって力が湧かない」というのは「強み」とはいえないのです。

 

強み発見ポイント② 周りの人に聞いてみる

 多くの人が、自分の強みはわからないけれどほかの人の強みはわかる、と言います。周りが教えてくれる強みは、自分が予想していた強みの場合もあれば、全く予想しなかった強みの場合もあります。複数の人に聞いてそれが同じである場合は、その強みが周りに伝わっているということ。違うなら、自分には見えていない新しい強みが増えたということです。

 子どもたちに伝えると「え〜、そんなの嫌だ」と特定の強みを嫌がることがあります。そんなときはその強みが、どれだけ自分や他者によい影響を与えているかを伝えていきましょう。たとえば、子どもが「真面目だね」と言われるのに抵抗があり、「真面目はノリが悪い」「おもしろくない」と思い込んでいたとします。そんなときには「真面目であることは、物事に一生懸命向き合い、人から信頼されるということだよ」と自他に与えるよい影響を伝えてあげてください。そうすることで、真面目であることを自分の「強み」と受け止め、真面目な特性を持つ自分を好きになれるようになるでしょう。

 

強み発見ポイント③ うまくいったときの「強み」を思い出す

 お子さんやご自分が、何か物事をうまくできたときのことを思い出してみてください。そして、そのときにどんな強みを使っていたのか、考えてみてください。うまくいっているときは、無意識のうちに強みを発揮していることが多くあります。

 所属する野球チームや生徒会で、イキイキと活動し、仲間に慕われている子がいたとすれば、その子の強みはリーダーシップやチームワークであることがよくわかるでしょう。もちろん、日々の生活ではうまくいかないこともありますが、あえてうまくいっていることを集めてみると、そこに強みが見えてくるのです。

 

それぞれの「強み」を意識した声かけを

「強み」が見つけられたら、次に、その強みを子どもに伝えましょう。そのときのコツは、「強み」に合わせた声かけをすることです。

 ある日、娘を連れて公園に遊びに行ったときのことです。公園の川で、おたまじゃくしをつかまえようとしている3姉弟に出会いました。いちばん上のお姉さんは素手でおたまじゃくしをとろうとしていて、「1時間もこの川でおたまじゃくしをとろうとしているけど、まだとれないの」と教えてくれました。上の弟くんは、からのペットボトルを使い、お姉ちゃんのほうへおたまじゃくしが行くように水を流して協力していました。

 しばらくすると、いちばん下の弟くんが、少し離れた場所にいたお母さんに「虫取りの網ない?」と聞いていました。これまでの方法ではおたまじゃくしはとれないと判断したのか、ほかの方法を考えついたようでした。

 その後、しばらくして3人ともおたまじゃくしを無事につかまえることができました。みんな満足そうな笑顔でした。

 

 さて、みなさんがこの3姉弟の母親だったら、そんな様子を見てそれぞれのお子さんにどのように声をかけるでしょうか? 「とれてよかったね!」では、強みを伝える機会を失ってしまいます。強みに注目した声かけをするとしたら、お姉さんには「あきらめずに最後までやり通したね!」とがんばり続ける力を強みとして伝えます。そして、お姉さんをサポートしていた弟くんには、「お手伝いがうまくいったね!」とチームワークの強みがあることを伝えられるでしょう。そしていちばん下の弟くんには、「新しいアイデアをよく思いついたね」と創造性の強みを伝えてあげることができます。

 このように、同じ目的にとり組む子どもたちにも、それぞれの行動を観察して、その過程と使った強みを具体的に伝える声かけを心がけてみてください。なぜなら、強みは認識して使えば使うほど、強く育っていくからです。親が子どもの強みを見つけて、それを言葉にして伝えることは、「自分の行動を見ていてくれた」「いいところを発見してくれた」という喜びを子どもに与えます。

 

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ISBN:
9784074473045