嫌なことばかりを思い出す。そんなときは、記憶をオフにするスイッチをつくろう/自分いじめの呪いを解く本 毎日がラクになる心のクセづけ40④

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公開日:2021/10/5

ココロジー・酒井和夫著の書籍『自分いじめの呪いを解く本 毎日がラクになる心のクセづけ40』から厳選して全10回連載でお届けします。今回は第4回です。TwitterやInstagramで話題のメンタルケアメディア・ココロジーの知識が一冊の本になりました。「自分いじめの呪い」とは、嫌なことや悩みに直面したとき、つい自分で自分を苦しめてしまう思考や感情のこと。そんな「自分いじめの呪い」を解く方法を、心理学の知識をもとに2ステップでわかりやすく解説します。これを読めば、自分で自分を苦しめる思考や感情から抜け出すヒントがきっと見つかるはずです。

自分いじめの呪いを解く本 毎日がラクになる心のクセづけ40
『自分いじめの呪いを解く本 毎日がラクになる心のクセづけ40』(ココロジー:著、酒井和夫:監修/KADOKAWA)

自分いじめの呪い 嫌な記憶を思い出してしまうとき

なんで私は嫌なことばかり思い出しちゃうんだろう…

自分いじめの呪いを解く本 毎日がラクになる心のクセづけ40

 人生には、嬉しいことや悲しいことがあるけど、つい嫌な記憶ばかりを思い出してしまうときがあるよね。そんな嫌な記憶を思い出して、気分が落ち込んだり、自己嫌悪に陥ったりして苦しんでいる人もいると思う。でも実は、人間には嫌な記憶を忘れるスキルが備わっているんだ。

 イギリス・ケンブリッジ大学のマイケル・アンダーソン博士によると、忘れるスキルには2つの方法があるよ。その方法を使って、意図的に嫌な記憶を忘れる練習をしていこう。

 特定の物事を忘れる能力には個人差があると言われているけど、忘れるスキルを身につければ、きっともっとラクになれるはず。ここでは、そんな「忘れるスキル」について詳しく紹介するね。

STEP1 原因を知る
嫌な記憶が消えない理由

 嫌な記憶って、どうしてなかなか消えないんだろう。これには、人間の脳の働きを司る「扁桃体」と「海馬」が関係しているんだ。扁桃体は、人間の感情をつくり出す部分。特に不安や恐怖を感じると活性化すると言われているよ。

 海馬は、記憶や学習能力に関連していて、五感から入った情報が集められる部分。海馬はストレスにとても弱くて、ダメージを受けると働きが悪くなって記憶力が低下してしまう。この扁桃体と海馬は隣り合って連動しているから不安や恐怖を感じて扁桃体が活性化すると、海馬にストレスがかかり嫌な記憶を思い出してしまうんだ。そして海馬の働きが悪くなって記憶力が低下すると、現在と過去の区別がつかず、まるで今それを経験しているかのように感じてしまうというわけ。

 つまり、嫌な記憶を思い出す正体は「脳」にある。だから嫌な記憶が消えないのは心の問題というよりも、脳や身体の働きなんだ。

自分いじめの呪いを解く本 毎日がラクになる心のクセづけ40

STEP2 呪いを解く心のクセづけ
記憶をオフにするスイッチをつくろう

 嫌な記憶は「嫌だ!もう思い出したくない」「早く消えて!」と感情で止めようとすればするほど、脳にストレスがかかり次々と嫌な記憶を思い出してしまうものなんだ。つまり感情を使うことは逆効果。だから、感情と関連しない「行動」で止めよう。

 もしあなたの中に嫌な記憶がよみがえってしまったときは、「アブラカダブラ」と呪文を唱えてみたり、挙手してみたり、手を叩いてみたりするなどしてみて。これは忘れるスキルのひとつ、「直接置換」というテクニックだよ。

 こうした記憶をオフにする行動のスイッチを自分なりにつくっておくことで、徐々に嫌な記憶を切り離していけるんだ。

自分いじめの呪いを解く本 毎日がラクになる心のクセづけ40

Topic 嫌な記憶をポジティブな記憶に変える練習

 嫌な記憶を思い出すときって、きっかけとなるトリガーがあるよね。例えば、「綾波レイを見るたびに元カノを思い出してしまう」なんて場合。この場合は「綾波レイ」=「嫌な記憶を思い出すトリガー」となるよ。

 そういうときは綾波レイというトリガーを「元カノ」ではなく「推しコスプレイヤー」といった自分にとってポジティブなものに変換するんだ。それが忘れるスキルのもうひとつ、「思考置換」という方法だよ。これは、トリガーを別のポジティブなものに変換するテクニック。

 無意識なトリガーもあるけど、認識できているトリガーがあればこの練習をしてみるのも効果的だよ。

まとめ

 これが「忘れるスキル」の2つの方法だよ。使えそうなものはあったかな? 嫌な記憶をすべて消し去るのはなかなか難しいけど、過去に振り回されず毎日穏やかに生きたいよね。でももし嫌な記憶を思い出すことで日常生活に支障が出たり、身体に異常が出る場合は、すぐに専門家やカウンセラーに直接相談して話を聞いてもらってね。みんなの嫌な記憶が少しずつ消え去りますように!

<第5回に続く>

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