怪異に教育的指導!ゴリラ顔体育教師の死亡フラグ折りまくりギャグ!『ゴリせん〜パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師〜』/マンガPOP横丁(79)

マンガ

更新日:2021/10/1

ゴリせん〜パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師〜
『ゴリせん〜パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師〜』(酒井大輔/講談社)

 物語のセリフに、「この戦いが終わったら○○するんだ…」というセリフが出てきたら? そうだね、“死亡フラグ”が立ったお知らせだね!……ということで、今回は死亡フラグをテーマにした作品のご紹介です。

 死亡フラグ。それは物語で登場人物の死を暗示させる発言や行動のこと。いまや王道のフリとして使われることが多くなったこの演出。こういった演出が比較的多く見られるのは、戦争ものであったり、ホラーものだったり。はりま自身はこれらのジャンルを見ないので純粋にその場面を見たことはないが、ネットで調べてみると「あー確かにあるある!」と頷いている。それはやはり“ネタ”として扱われてしまっているからなのかも。なので本物の死亡フラグというものを目の当たりにしたことがない方でも楽しめる作品がある。『ゴリせん〜パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師〜』(酒井大輔/講談社)だ。まさに死亡フラグの最前線(?)に立たされた体育教師による日々の闘いの記録が描かれていて、その展開がとても痛快なのである。

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 “ゴリせん”と呼ばれるゴリラ顔の体育教師は、朝の持ち物検査を行っていた。女子生徒の持ち物を没収していた直後、別の生徒が大きな口を開け、ゴリせんの頭を食いちぎろうとする! その生徒は怪異だった。ごりせんの首の周りから噴き出す大量の血。女子生徒の目の前は地獄絵図……と思いきや、ゴリせんはその怪異の口を力ずくで開け、まさかの教育的指導! なんとゴリせんは無傷だったのだ。別の日では教室で保健体育の授業をしていると、突然教卓に1匹のウサギの人形が現れてクラスをデスゲームの世界へ巻き込もうとする。しかしゴリせんが率先して拒否。するとウサギは持っている銃でゴリせんの頭にパーンと一発。しかしこれでもゴリせんは死ななかった。むしろウサギにとんでもない結末が……。

 次々とゴリせんを襲う謎の怪異たち。そしてゴリせんは知らない、彼らの真の目的を。

 物語の始まりに導くための“最初の犠牲者”となることが多い体育教師。そのあらゆる“死亡フラグ”をお構いなしに、見た目そのまんまの圧倒的なパワーでバッキバキに折っては怪異たちの目的を潰していく。そんなゴリせんの闘いの日々が始まったのであった。

 とにかく襲われ、とにかく死なない! さらにゴリせんの知らないところで怪異たちの物語も進んでいくという、見応えのあるマンガだ。なかなかの恐怖を植え付けてくる怪異だが、なぜか“指導された後”の怪異たちをちょっと愛おしく感じてしまうのは、ゴリせんの指導がマジで効いているからなのかも。人格者としても最強すぎるだろ、ゴリせん!

 ということでPOPでは“ギャグ”のカテゴリーに入れた。作者の酒井大輔先生が『死亡フラグの実用例としてお使いください』とあったので、これから立つかも知れない死亡フラグ回避のための参考書としてはりまは常備しようと思う。もう何が起こるか本気でわからないこの世の中、みなさんも非常時に備え、楽しく読んでフラグの折り方を身につけよう!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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