見た目や行動に現れる。冷えやすい「陰性体質」と冷えにくい「陽性体質」/病気にならない体をつくる こども免疫教室④

健康・美容

公開日:2021/11/19

免疫の要となるリンパ

 リンパ液とは、リンパ管という管の中を流れる液体のことです。体内を流れる液体の代表は血液ですが、リンパ液も、とても重要な役割を担っています。

 カゼをひいたとき、のどや耳の下が腫れた経験はないでしょうか? これはリンパ管にあるリンパ節が腫れているからです。リンパ節には、病原菌などの悪者を攻撃する免疫細胞のリンパ球がたくさん集まっています。リンパ節が腫れるのは、このリンパ球が悪者と戦っているわかりやすい反応なのです。

 冷えなどで血液の流れが悪いとリンパ液がスムーズに流れなくなります。その結果、免疫システムがうまく作用しなくなることに……。免疫を高めるためには、血液やリンパ液の流れをよくすることが、とても重要です。

 リンパ節には、免疫細胞のリンパ球がすんでいます。リンパ球に病原菌の情報を伝える免疫細胞は、病原菌を食べるとすぐさまリンパ節に移動して、病原菌についての情報をリンパ球のT細胞に伝えます。

 T細胞はその情報を受けとるとすぐにB細胞に指令を与え、抗体をつくらせて攻撃をしかけます。同時に血液中に移動して、病原菌に直接攻撃したりします。

クーラー、シャワー、氷入りドリンク夏でも冷え冷え

病気にならない体をつくる こども免疫教室

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質問です。夏にクーラーをつけっぱなしで氷入りのドリンクを飲んでいたり、入浴は湯船につからずシャワーですませていたり、移動するときに車や電車を使ってほとんど歩いていなかったりしませんか?

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どれもふつうにしてることばかりです。

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実はこれらはすべて体を冷やす要因なんです。快適な生活ができるようになったことで、体が冷えてしまったこともあるのよね。

現代人に冷えをもたらした生活習慣の変化

 冷えを招く大きな要因は食習慣の変化です。

 昔は、地元でつくったものを地元で食べるのが基本で、夏は体を冷やす夏野菜、冬は体を温める冬野菜や漬け物のような長期保存ができる発酵食品を食べていました。ところが、いまは冬の寒い時期に夏が旬のトマトやきゅうりを食べるなど、体を冷やすものを食べる「食い違い」が起こっています。また、体を冷やす南国の食べ物もふつうに食卓に並びます。

 現代人の冷えに拍車をかけているのがクーラーの普及です。夏の暑い時期とはいえ、クーラーが効いて冷えた部屋で過ごし、体を冷やす氷入りの麦茶やジュースを飲んでいたら、体の芯から冷えることになります。

 さらに、車や電車、バスなど、移動手段が発達したことも冷えの要因となっています。昔はどこに行くにも歩いていました。たくさん動いていたから、体内でつくられる熱の量も多く、冷える心配はなかったのです。

 加えて湯船につからず、シャワーですます人が増えたことも、体を冷えやすくしています。

 冷えに悩む人が多いのには理由があるのです。

冷えやすい、冷えにくいは見た目や行動にあらわれる

病気にならない体をつくる こども免疫教室

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自分ではよくわかってないけど、私も冷えてるのかな? どこで見わければいいの?

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冷えているかどうかは見た目でわかりますよ。うーん、あなたは色白できゃしゃだから冷えやすいと思うわ。気をつけましょうね。

冷えやすい陰性体質、冷えにくい陽性体質

 私の父・石原結實が考案した「石原式健康法」では、体質を大きく「陰性体質」「陽性体質」の2つに分け、それぞれに合った健康法をすすめています。

 「陰性体質」は、血の気が少なく、なんとなく元気がなく、体温が低めの傾向があり、低血圧、貧血、アレルギーなどを発症しやすい傾向があります。

 「陽性体質」は、血の気が多く、いつもせかせかと気ぜわしく動く傾向があり、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを起こしやすいとされています。

 体質は生まれ持ったものもあり、男性は「陽性」が強く、女性は「陰性」が強いといわれます。冷えで悩む女性が多いのはもともとの性質も影響しているのでしょう。女性は特に冷えないよう気をつけましょう。

 そのほか47ページで説明したように、現代では生まれたときから冷えやすい環境で過ごしていることもあり、体が冷えている「陰性体質」の人が増えています。

体質は見た目や行動にあらわれる

 東洋医学では、患者さんの体型や歩き方、顔色などから診察する方法があります。診察室に入ってきた患者さんを見れば、想像がつくことがほとんどです。

 それぞれの体質の特徴を表にまとめたので、自分がどちらの体質かチェックしてみましょう。両方の特徴を持っている場合は、多いほうが基本的な体質になります。

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ちょっと詳しい話
陰性と陽性のバランスがいい間性体質が理想

 左ページのチェック項目で、陰性、陽性の両方に当てはまる人もいると思います。これは自然なことです。

 体質は陰性、陽性にはっきりと分かれるわけではありません。ただ、陰性が強い(冷えている)のか、陽性が強い(暑がり)のかを判断する目安になります。

 ふだんから冷えを感じている人は陰性が強いので、体を陽性に変えるために、温め生活で体温を上げましょう。食事や運動、入浴で体質を変えることはできます。

 日ごろから暑がりで、冬でも半ソデ、半ズボンで過ごしている場合は冷える心配はありません。ただ、陽性が強くなりすぎると、大人になったときに高血圧や脳卒中、心筋梗塞といった病気のリスクが高くなります。

 冷えている人に比べると、気をつけることはそれほど多くありません。食べ物は陽性食品ばかりとらないよう注意して、体をよく動かしていれば、ほかは特に気をつけなくても、元気にすごすことができるでしょう。

 理想は、陰性でも陽性でもどちらでもない「間性体質」です。陰性と陽性のバランスがよく、漢方ではもっとも病気になりにくい体質と考えられています。

 間性体質のポイントはちょうどいい状態です。身長も中くらい、体重は太りすぎずやせすぎず、筋肉も適度についている、中肉中背タイプです。

<第5回に続く>

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