天気の影響で体調が悪くなる人が増加。自分では判断しづらい「気象病」のつらさとは?/「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本

健康・美容

公開日:2022/4/27

「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本

 天気の変化に悩まされているのは日本人だけではありません。世界各国で、その症状をうったえている人たちがいます。つまり、国や地域ごとの気象条件にかかわらず、天気の変化は人間の体になんらかの影響を与えうるということです。

 症状は痛みだけにとどまりません。天気の変化による温度の高低が心臓病や脳卒中の引きがねになることもあります。暖かい屋内から気温の低い屋外に移動する際の急激な血圧の上昇や、気温の変化が血管にダメージを与えるからです。気象病研究が進んでいるドイツでは、気象庁が心臓疾患の天気注意報を発表していたりもします。また喘息の症状やうつ病などの精神疾患をまねく恐れもあります。さらには、虫垂炎や歯周病が悪化する要因になることもあるといわれています。

 このような、天気の影響を受ける病気や症状は、「気象病」という総称で呼ばれており、ドイツでは、30種類にもおよぶ病気や症状が認められています。その中で、頭痛や関節痛など、とくに痛みにまつわる症状を私は「天気痛」と名付けています。

自分も他人も原因に気づきにくく人間関係のトラブルをまねくことも

 気象病がやっかいなのは、自分では判断がつきにくいことです。たとえば、雨の日に体調を崩しやすかったり、気分が落ち込んでしまったりする傾向にある人でも、それが雨のせいであると自覚できないケースが多々あります。

 体がダルくて動かない。どことなくイライラする。でも、はっきりとした病気というわけではないから頑張るしかない。そうやって無理をして、ストレスをため込んでしまう。これは本当に危険で、うつや不眠といった症状を誘発しますし、最悪の場合は自殺願望を抱いてしまうことさえもあります。

 さらに問題なのは、気象病のつらさは自分以上に他人にはわかりにくいということです。ゆえに仮病と思われたり、サボっているように見られてしまうことがあり、そんな他人の〝懐疑のまなざし〟を気にして、なおいっそう心を病んでしまう人もいます。

 過去に私が診察した患者さんのなかに、こんな人がいました。曇りや雨の日に頭痛がひどくなり、学校に行けなくなることもあるという、高校1年生の女性Aさんです。Aさんの頭痛がはじまったのは小学5年生のころで、最初はひどい痛みはなかったものの、中学に入ると症状が悪化し、授業中に保健室に行ったり、頻繁に学校を休んだりするようになりました。それが周囲に「サボり」と認識され、いじめを受けるようになってしまったのです。

 Aさんは、適切な治療を受けてからは元気に学校に行けるようになりましたが、中学時代に心身両面に負ったダメージは相当大きかったはず。病気のことを他人に理解されないのは、本当につらいことだったと思います。

 気象病を放っておいて、いいことは何もありません。とくに思い当たる原因がないのに、何かおかしいな? 調子が悪いな?と思ったら、天気との因果関係を考えてみるようにしましょう。

<第4回に続く>


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