「才能」の限界を知る100分間――谷崎潤一郎『100分間で楽しむ名作小説 神童』作品紹介

文芸・カルチャー

公開日:2024/3/22

2024年3月19日(火)、角川文庫の新シリーズ「100分間で楽しむ名作小説」がついに発売日を迎えました!
活字を従来の本文組より大きくし、行間をゆったりとって読みやすくした本シリーズ。
第一期ラインアップとして刊行されるのは、一度は読みたい古典名作から、自信をもっておすすめしたい現代の名作小説まで、バラエティ豊かな10作品です。

advertisement

カドブンでは本シリーズの創刊を記念して、10日連続で作品紹介記事を配信します。
100分後、本を閉じたあなたにおすすめしたい「次の1冊」もあわせてご紹介。
様々な読み味の作品の中から、あなたにぴったりの「100分間」を見つけてみてくださいね。

「100分間で楽しむ名作小説」シリーズ作品紹介④
「才能」の限界を知る100分間――谷崎潤一郎『神童』

いよいよ本当の運命が開けて来た。自分は果してえらい人間になれるのだ

小学一年生の頃から抜群の成績を修め、誰もが「神童」と褒めそやした春之助。だが、十二歳になる頃には家にこもって本を読むばかりで、無口で弱々しい少年となってしまった。才気あふれる息子を誇っていた両親も将来を憂えるようになったが、彼はますます書物の世界へのめり込んでいった。限界を知ったときに新しい世界が広がる、圧倒的才能の物語。

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322312000263/

本を閉じたあなたにおすすめしたい「次の1冊」

同じ作家の作品をもっと読んでみたいと感じたあなたには……
『春琴抄』がおすすめ!

マゾヒズムを究極まで美麗に描いた谷崎の代表作!

九つの時に失明し、やがて琴曲の名手となった春琴。美しく、音楽に秀で、しかし高慢で我が儘な春琴に、世話係として丁稚奉公の佐助があてがわれた。どんなに折檻を受けても不気味なほど献身的に尽くす佐助は、やがて春琴と切っても切れない深い関係になっていく。そんなある日、春琴が顔に熱湯を浴びせられるという事件が起こる。やけどを負った女を前にして佐助は――。異常なまでの献身によって表現される、愛の倒錯の物語。解説/山崎ナオコーラ。

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/200811000418/
てぬぐい店「かまわぬ」とのコラボカバー作品一覧:https://kadobun.jp/kadokawa-bunko/cover-k.html

文字の大きさが読みやすいと感じたあなたには……
「100分間で楽しむ名作小説」シリーズ内の他作品がおすすめ!

▼シリーズ特設サイトはこちら

著者プロフィール

谷崎 潤一郎(たにざき・じゅんいちろう)
1886年東京生まれ。東京帝国大学国文科中退。1910年、第2次「新思潮」の創刊に関わり、同年「刺青」を発表。『痴人の愛』『卍』などの耽美主義的な作品で知られ、生涯で3度の『源氏物語』現代語訳を手がけた。1949年、第8回文化勲章受章。1964年に日本人で初めて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれる。1965年7月没。