ネガティブな感情は“捨てる”のではなく“理解”する! 挫折したときに自分を立て直す方法

更新日:2017/5/8

『立て直す力』(ブレネー・ブラウン:著、小川敏子:訳、講談社)

 無理やりポジティブを演じてはいないか? ――本文中の、その言葉にはっとした。落ち込んだり、傷ついたりすることが、いつしか“悪いこと”になっていた気がする。うじうじする自分がだめ、いちいちへこたれる自分は弱い。そんなふうに自分を痛めつけて、もっと苦しい闇に陥れていたのかも。そう気づかせてくれたのが『立て直す力』(ブレネー・ブラウン:著、小川敏子:訳、講談社)。『ニューヨーク・タイムズ』で紙書籍ランキングNo.1のベストセラー本に輝いた心のセラピーブックだ。

 失敗しない人間はいないし、誰とも喧嘩せず、平穏だけの世界で生きていける人間もいない。めざすべきは、誰とも衝突しない生き方ではなく、トラブルが起こったときに自分を立て直す方法を知ることだ。タイトルどおり本書は、そのためのメソッドを教えてくれる一冊だ。

 感情的であることを人が嫌うのは、筋も理屈もとおらず、手に負えないような雰囲気があるからだろう。であればその感情がどこから生まれ、どうやって育ち、どうして暴れまわっているのかを、筋道立てて読み解いてやればいい。感情を正しく正面から受け止めてやれば、トラブルの根源も、解決方法もわかるはず、というのが本書の主旨。そのためになにより必要なのが、著者いわく「ストーリーを紡ぐこと」だ。

〈完璧主義に縛られ、つねに自分の足りない部分に引け目を感じるよう強いる文化のなかで生きている。だからこそ悪戦苦闘する自分を主役とする一貫性の物語を紡ぎ、(中略)紡ぐことで勇気が湧いてくる〉

 感情を理解するためには、自分がどんなストーリーを求めているか、どんな人生を紡いでいきたいのかを知ることが肝要だ。感情を押し殺して排斥するのは、立ち直るためにはむしろ逆効果。なぜ自分はこんなにも悲しく、悔しい思いをしているのか。それをつきつめていけば「ああ、本当はあの人に愛されたいのに冷たくされているからだ」とか「本当はこの夢を成し遂げたいのに、思うように日常がまわっていない」とか、漠然とした感情の底に眠っている本当の願いが見えてくるはずだ。

 その先で、自分が見て見ぬふりをしていた不安やトラウマ、弱点――たとえば好きな人に愛されていないとか、夢を叶えるための努力が足りていない自分とか、言葉足らずで相手を傷つけてしまった過失とか――などをつきつけられることもあるだろう。怒りが再燃したり羞恥心にのたうちまわったりして、ただしんどいだけで終わってしまうかもしれない。そうならないためにも、本当に前に進むためにどうすればいいのか、自分のストーリーをいかに見つけて勇気を抱くことができるのか、本書では小さなステップから一つ一つ、丁寧に教えてくれる。

 正直、この本は読む人にとって、表面的にはちっとも優しくない。自分の弱さに向き合うことを、とことんまで求めてくるのだから。だが、「傷ついたストーリーに踏み込んで」みることで、やっと一歩先に進めるのだと著者は言う。〈自分のストーリーに責任をもち、自分を偽らずに生きると決めた時、闇に光が訪れる〉のだから、と。

 何か心にひとつでも棘が刺さっている人はぜひ、本書を参考にしてみてほしい。

文=立花もも