モモ (岩波少年文庫(127))
「モモ (岩波少年文庫(127))」のおすすめレビュー
村上春樹にミヒャエル・エンデ…物語とチョコレートの“いい関係”にひたれるおすすめ本
古今東西、物語に描かれたチョコレートを見てみると、人とチョコのただならぬ関係が見えてくる? 『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』『芥川賞ぜんぶ読む』などの著作が話題の小説読み・菊池良さんに、チョコレートが登場する小説を教えてもらいました。
『ねむり』村上春樹
『ねむり』(村上春樹/新潮社)
突然眠れなくなった「私」はその時間を埋めるように読書へ没頭する。彼女の身体に起きている変化とは? 元は『TVピープル』に収録された短編がバージョンアップ。カット・メンシックによる美しいイラストも見どころ。
ブランディーとチョコレートで読書を
村上春樹の『ねむり』は「眠れなくなって十七日めになる」という印象的な書き出しではじまる。 歯科医の男と結婚して子どももいる「私」はある日突然、眠れなくなった。病院には行っていないが、それは不眠症ではないと「私」は感じている。それは「眠りにくい」のではない。彼女はほんとうに一睡もできなくなってしまうのだ。彼女の重大な変化に、家族は誰も気づいていない。 「私」は夜になるとベッドを抜け出して、ソファーに座り一人で『ア…
2020/2/13
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「無駄な時間」も大切! 大人だからこそ改めて読みたい「時間」の物語
『モモ』(ミヒャエル・エンデ:作、大島かおり:訳/岩波書店)
雑誌や書籍、ネットなど、様々な場所で目にする「効率」「時短」という言葉。便利な家電や機器が次々に登場し、機械任せの仕事が増えているはずなのに、人は相変わらず忙しくしている。「時間がない」「そんな余裕はない」と、本当にやりたい事を諦めている人も多いだろう。そんな慌ただしい日常において、無駄をなくし、「効率よく仕事をする」ことは、たしかに大切なのかもしれない。
だが、人間は機械ではない。有限で大切な時間だからこそ、行動には心が伴っているべきであり、幸せを実感する「余裕」は必要なのだ。人は余裕がなくなると、イライラしたり、誰かを思いやる心がどんどん削られていってしまう。想像力も乏しくなる。
そんな状態になってしまうと、今度は、のんびりすることに罪悪感を覚えたりもする。そんな時に、思い出してほしい本がある。名著として親しまれている、時間をテーマに描かれる壮大なファンタジー児童文学、『モモ』(ミヒャエル・エンデ:作、大島かおり:訳/岩波書店)だ。
この本は、「もっと時間がほしい」と願う人間が、…
2015/10/31
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モモ (岩波少年文庫(127)) / 感想・レビュー
zero1
時間泥棒は私でありあなた。何度目かの再読なので変わったことを書く。社会が全体主義に傾いた時【それは違う!】と言えるだろうか?【みんなが!】【普通は!】と言い出したら【少数派であることを恐れない】ことがいかに難しいか。試されているのは読者自身。【他人でなく自分はどうなんだ?】という問いを続けるには勇気が必要。時に少数派は監視され排除される。隣組による【非国民!】という憎悪の目がそうであったように。時間に追われる現代人が読むべき一冊。児童文学というより大人が冷や汗を感じつつ読む作品。だから批判もある(後述)。
2020/05/26
小梅
時間に追われる毎日。時間泥棒はいつの時代にもいるんだろうな…モモ、私の時間を取り戻してくれてありがとう!作者のみじかいあとがきが凄く良かった。エンデの奥さんは日本人なんですね。ずっと手元に置いておく本の仲間入りです。
2018/02/03
ehirano1
確か児童書のコーナーで売られていたのを見た覚えがあったのですが、「現代社会の問題点を鋭くえぐった立派な思想書、哲学書です」、と佐藤優氏が『人をつくる読書術』で言及していたので手に取りました。佐藤氏が云う思想書や哲学書とまでは読み込めなかったのですが、「時間泥棒」はとても印象に残りました。なおで、この辺りくらいから思想書や哲学書に接近できればいいなと思ってます。
2022/10/14
Willie the Wildcat
時間と心理状態の相関関係。価値を見出すのは、仕事も遊びも同じ。豊かな人生を問い続け、物質主義や効率性を追求?然るにその結果は如何に・・・。親や大人の子供への影響の件は、少なからず耳が痛い。「時間の花」。自分の心であり、心の表現。鍵は、待つこと!結果を求めすぎる現代にも通じるMSG。読後、大人のための児童書ではなかろうか、と考えさせられた。蛇足だが、カシオペイアが「ミーナ」を彷彿。言葉ではなく存在感・・・。包容力が共通項かなぁ。(笑)
2014/07/19
けいご
より早く仕事を!成長を!成果を!周りを見ると、残念ながら時間をとにかく削って、お金を稼ぐ事のみが正義だったりします。勿論生きる為に最低限資本も必要ですが、愛情を(時間を)かけて何かを育むことは、生き物として大切な事なんじゃないかな?っと気づかせてくれる大切な1冊でした★良くも悪くも時間の事を考える事が多くなった今の時期に是非読んでもらいたいです★お金と物をくれる人は多いけど、愛情と時間をくれる人はなかなかいない世の中には無くてはならない1冊だな〜っと心より思いました。
2020/11/20
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