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春昼(しゅんちゅう);春昼後刻(しゅんちゅうごこく) (岩波文庫)

春昼(しゅんちゅう);春昼後刻(しゅんちゅうごこく) (岩波文庫)

春昼(しゅんちゅう);春昼後刻(しゅんちゅうごこく) (岩波文庫)

作家
泉鏡花
出版社
岩波書店
発売日
1987-04-16
ISBN
9784003102756
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春昼(しゅんちゅう);春昼後刻(しゅんちゅうごこく) (岩波文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

なんとも独特の間合い。小説の中を流れる時間もきわめてゆっくりだ。というよりも、もはや時間そのものが停止してしまったかのような。春の午後の空気は茫洋として暖かく、「胡蝶の夢」を誘うかのようだ。あるいは夢の中で夢を見ていると言えばいいのか。解説の川村次郎は「鏡花随一の傑作」と評するが、私はやはり幻妖が立ち現れる方を好む。その意味では「春昼後刻」の方が、結像は明確だろう。この掴みどころのない時間感覚の継承者がいるとすれば、永井荷風あるのみか。

2017/02/18

新地学@児童書病発動中

再読。菜の花の季節に読み返したくなる。目の覚めるような傑作で、一瞬にしてここではないどこかに連れて行ってくれる物語だ。この連作の中心にあるのは物狂おしいまでの男女の情念だと思う。この世で思いを遂げられなかったら、あの世でという情念の強さが、物語に大きな力を与えている。菜の花、大蛇、漢詩といった東洋的な小道具の使い方も見事だ。それから、決して読みやすいとは言えない泉鏡花独特の文体が効果を上げている。主語を省略し、ちょうど息を継ぐような形で文を切る文体に語りの魔術がある。日本文学の最高傑作の一つだと思う。

2015/03/26

テディ

散策中の散策子が寺の住職から仮庵室を貸していた男が資産家の美貌の妻に恋い焦がれて亡くなった話を聞く。すれ違っただけの女。男はある日、寺の裏山に現れた舞台に一緒に立った夢を見た。翌日、女も同じ夢を見て参拝後に歌を寺の柱に貼る。同じ夢を見たく谷に向かった男は谷底に沈み亡くなる。女と話をする機会を得た散策子。女から好きな人に似ていると言われる。女からのことづけを持っていた角兵衛獅子の弟が海で溺れ、女の死骸と一緒に見つかる。現実と夢の中で恋に彷徨う男女。男が死に、女がそれを追って決着をした話であった。  

2017/03/18

mii22.

三月になると心が浮き立ち、ほかほかとした春の日差しが待ち遠しくて、手にとってみた。桃の花、囀ずる鳥、ゆっくり流れる時、のどかな春の昼下がりを散策する風景から、うとうとと夢の中に、うつうつと朧気な妖しい世界のなかに、意識が埋もれていく感覚が心地よい。もう少し暖かくなったら、またこの世界に浸りたい。

2017/03/06

市太郎

本当、正直に言いますと、読んでさっぱりわからなかった。「そうか、これが・・・そうか、そうか・・・これが泉鏡花、か・・・」等とぶつぶつ言うような勢いで恍惚の鳥肌もので読了。この世界は、なるほど容易ならぬ。この独特、リズム、幻惑。「なにこれ? どこ、ここ?」と言ってもいいのだけれど、そう言うのがもったいないくらいの濃霧。案外、最初の方は筋が追えました。初読にしては、頑張ったと思います。春の日の戻ってこれなくなりそうな妖しい魂。踏み入れている、と感情を持ち始めたのは読み終わった後で。静かに今日はおやすみなさい。

2014/04/22

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