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石垣りん詩集 (岩波文庫)

石垣りん詩集 (岩波文庫)

石垣りん詩集 (岩波文庫)

作家
伊藤比呂美
出版社
岩波書店
発売日
2015-11-18
ISBN
9784003120019
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「石垣りん詩集 (岩波文庫)」のおすすめレビュー

「妻や母である前に私は私」自分の生き方が分からない現代女子に贈りたい石垣りん詩集

『石垣りん詩集(岩波文庫)』(伊藤比呂美:編/岩波書店)

 戦争を乗り越え、義理の両親のために懸命に働いた石垣りん氏。彼女の詩は力強く、現代の女性たちに深く突き刺さる。『石垣りん詩集(岩波文庫)』(伊藤比呂美:編/岩波書店)の中でも特に、女性の心に染みる詩をいくつかご紹介したい。

■妻でも母でもない私

 妻や母として生きていると、自分自身のことを忘れてしまうことはないだろうか。そんなときに思い出してほしいのが石垣氏の代表作でもある「表札」だ。

自分の住むところには 自分で表札を出すにかぎる。自分の寝泊りする場所に 他人がかけてくれる表札は いつもろくなことはない。病院へ入院したら 病室の名札には石垣りん様と 様がついた。旅館に泊っても 部屋の外に名前は出ないが やがて焼場の鑵にはいると とじた扉の上に 石垣りん殿と札が下がるだろう そのとき私がこばめるか? 様も 殿も 付いてはいけない。自分の住む所には 自分の手で表札をかけるに限る。 精神の在り場所も ハタから表札をかけられてはならない 石垣りん それでよい。

 初めてこの詩を見たとき、…

2018/4/8

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石垣りん詩集 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

巻末の自筆の年譜によると石垣りんは14歳から働き始めたそうだ。経済的に苦しい実家を支えるための仕事だった。そして55歳で定年退職するまで働き続けた。この詩人の言葉は文学者の言葉と言うより、ひとりの生活者の言葉だと思う。血と汗と涙が行間から滲んでいる。家族のために結婚すら断念し、働き続けた人の言葉はとてつもなく重い。文学や詩や素晴らしいものだが、それより素晴らしいのは懸命に生きること。生きることの重みや苦しみを読者の心に直接ぶつけてくるこれらの詩を読むと、しんどい人生に正面から向き合う力と勇気をもらえる。

2015/11/22

ちゃちゃ

終戦の日を迎えると思い出す詩がある。「戦争の終わり/サイパン島の崖の上から/次々と身を投げた女たち。/美徳やら体裁やら/何やら。/火だの男だのに追いつめられて。/(略)それがねえ/まだ一人も海にとどかないのだ。/十五年もたつというのに/どうしたんだろう。/あの、/女。」(『崖』)まるでモノクロ写真を見ているように直截的なリアリティで女の戦争を切り取る。宙に浮いたままどこにも届かない女たちの想い。せめて私たちは、その想いを受け継いで、鎮魂の祈りを捧げたい。脳裏に焼き付いた石垣りんの鋭い言葉の記憶として。

2018/08/15

佐島楓

読み終えてへとへとになる。それほどことばひとつひとつにパワーがある。社会に対する怒りの詩、自分の人生のままならなさを嘆く詩。いずれもからだの内側から揺さぶられるようなつよさを持っている。詩を書き続けるということは、人生を綴ることとイコールであり、生半可な覚悟ではできないと知った。

2019/01/15

fwhd8325

梯久美子さんが、石垣りんさんを取材しているという記事を見て、作品を読んでみたくなりました。率直に、この烈しさに圧倒されました。しばし、手を止め、そこにある文章を咀嚼するように、作品を読みました。そこには、文学としての詩、人生としての詩がありました。作品が発表されてから、長い年月が経っているのですが、少しも変わって異な社会の闇がそこにあるようにも感じます。

2017/10/18

あきあかね

 石垣りんは、家族を支えるために14 歳から大手町にある銀行で働きはじめ定年まで勤め上げた。そのため、詩にも仕事と家庭を描いたものが多い。月給袋を持ち帰るために、「一日のうち最も良い部分、生きのいい時間」を会社に売り渡す日々、貧窮する生活や家族への愛憎や葛藤などが赤裸々に綴られる。花鳥風月の美しさを詠み上げるような詩とは対極にあるが、人間や社会を見据える凛とした言葉は胸を打つ。印象的な作品は多々あるが、圧倒されたのは「くらし」という詩。その何気ない題名とは異なり、慟哭のような激しさに満ちた詩で、⇒

2020/01/02

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