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けものたちは故郷をめざす (岩波文庫)

けものたちは故郷をめざす (岩波文庫)

けものたちは故郷をめざす (岩波文庫)

作家
安部公房
出版社
岩波書店
発売日
2020-03-15
ISBN
9784003121412
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けものたちは故郷をめざす (岩波文庫) / 感想・レビュー

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アキ

本年3月に岩波文庫から復刻されたので、昨年読んだところだったが、再読した。久三のヒリヒリした皮膚の感覚が感じられる程の日本への逃避行。満州の荒涼とした地平線の見える丘を、正体も魂胆も見えぬ高と共に、いつ行き倒れ狼の餌食になってもおかしくない状況が続く。ついに日本人街に着くが、塀の向こうの日本人には証明書がなければ相手にもされない。国家が崩壊し、誰が敵で誰が味方か疑心暗鬼の中でだまし騙され生き残るうちに、飢えと寝るところを見つけるために皆がけものにならざるを得ない。戦争は昨日と今日のつながりをなくしてしま⇒

2020/09/04

藤月はな(灯れ松明の火)

作中でしきりに日本人と言い張る久三。だが、満洲にてロシア人たちによって育てられた事で彼は日本とは違う価値観を持っている。残念ながら、その価値観は日本特有の価値観を持つ者達にとっては異質で相入ることは出来ないものだ。それを象徴したのが日本人村での扱いなのだ。そして帰属を求めていた久三にとってはその価値観は最早、不必要だが、アイデンティティの為に捨て去れないものなのも事実だ。後、何処にも帰属がなくなる事で、時代のエアポケットとしての「満洲」の象徴とも言える高が「久三を始終、呪縛する者」として描かれるのも意味深

2020/04/10

Vakira

なにこれ サバイバルロードノヴェル。大好きなコボさんの作品。最近岩波文庫で新装版として発売。昔読んだはずなのに記憶無し。でわっと。コボさんは僕の中では空想科学超現実変態作家でしたが全然異なる印象。今頃新境地発見感。なんでこんな面白いのに記憶がないのか?自分の感受性の問題だ。感受性は経験と共に変化していく。再読もメリットあることを知る体験。読んでみるとコーマック・マカーッシー感「ブラッド・メリディアン」とか「すべての美しい馬」を思い出す。終戦、中国に置き去りにされた青年が故郷である日本をめざす話。

2020/05/28

三柴ゆよし

日本の敗戦から人民共和国が樹立されるまでの満洲を舞台にした本作は、主人公たる少年の故郷からの脱出を描くと同時に、まだ見ぬ故郷への帰還を志向するという双方向的なベクトルを孕んでいる。更には、島国日本の風土とはまったく異質な大陸の広漠たる荒野の風景を、日本語によっていかに描写するかという文体の冒険が大胆に試みられる一方で、主人公の実存的な発見と成長を脱臼させまくる、一種のアンチ教養小説にもなっている。安部公房自身は本作を「地味」と評していたそうだが、時代を経ていまこそ読まれる土壌が整った感がある。大傑作だ。

2020/04/03

ROOM 237

これぞ男のロードノベル純文学。いつもの悪夢めいた不思議話ではなく吉村昭の実話記録風。親を亡くした日本人少年が戦後の旧ソ連から逃げ出す、もう出だしからスリル満点ハラハラドキドキ。気温マイナス25度の中をウォトカと僅かな食料を持ち終わりの始まりが始まる。延々と続く凍てつく荒野を行く中で救いや期待、裏切りと対峙し折り合いをつけようとする逞しさよ。生きねば。かなり辛く苦しい為、元気な時に読まないといけない作品だが映画化して欲しい。絵的にコーマックマッカシーの作品を思い出す。

2020/05/05

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