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子ども(下) (岩波文庫)

子ども(下) (岩波文庫)

子ども(下) (岩波文庫)

作家
ジュール・ヴァレス
朝比奈弘治
出版社
岩波書店
発売日
2012-07-19
ISBN
9784003751275
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子ども(下) (岩波文庫) / 感想・レビュー

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のっち♬

パリでの学生生活に幻滅したジャックはジャーナリズムに感化されて親と対立する。無邪気さはより鋭利な観察眼にとって代わり、少女の悲痛な虐待死を挟んで、社交界やパリで母親の虚栄に皮肉の集中砲火を浴びせる。くだけた口調は文法教育への反感なのだろう。こうした土壌を作っているのが競争激化がもたらす社会の歪みにあることがより強く訴えられている。"パリ・コミューンの闘士"は抑圧で膨張した自由の渇望と特権階級への怒りで産声を上げたのだ。「教育を受けない代わりに侮辱も受けないほうがずっといい」—平等の押し付けは平等ではない。

2021/09/15

ラウリスタ~

下巻も一瞬で読み終わってしまった。ほんとに面白い。日本ではパリ・コミューンの闘士として紹介されることが多いよう、労働者の立場に立った思想的背景が確かにこの小説のなかでも垣間見える。とはいえ、そんなことを抜きにしても十二分に面白い。未だかつてこれほどに子どもの立場から書かれた小説(その一方で明かに大人な語り手)があったろうか。「僕」という当時の子どもと、現在の大人である語り手が妙なバランスで語る。読みやすさが抜群だからか、フランスの子どもはみんな読むんだとか。これはお勧め。

2012/09/12

シンドバッド

著者ヴァレスは、パリ・コミューン成立の立役者の一人としての存在しか入らなかった。なんと、作家! 三部作の残り2つも、是非出版していただきたい。 朝比奈弘治の翻訳も大変、読みやすく。一気に読めてしまう。

2013/12/23

壱萬弐仟縁

訳者解説によると、著者ヴァレスは「死ぬまで警察のスパイにつきまとわれ、苦しめられる」(306ページ)。警察官そのものの迷惑防止条例などで逮捕されるような日本社会だが、強制力を有無を言わせず行使する権力は不自由なものだと実感する。監視もそうだが。親からの強制力にも苦しんだというので同情してしまう。120ページにあるように、ぼくという人は先生からしょっちゅう鞭で打たれ、平手打ちをくらっている(120ページ)。こうした学校での体罰は私も小学校のとき、連帯責任で体罰に甘んじてきた。やられた方はずっと覚えているナ。

2013/01/30

Sosseki

成長し、知的・体力的に親を超える子ども。両親との徹底的対立後の和解。解説を読むと、社会的要因も多分にあるようだが、それにしても現在の日本にも通じる虐待の実態。ストレス社会は現代だけでなかったんだ。

2012/08/31

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