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大審問官スターリン (岩波現代文庫)

大審問官スターリン (岩波現代文庫)

大審問官スターリン (岩波現代文庫)

作家
亀山郁夫
出版社
岩波書店
発売日
2019-09-19
ISBN
9784006023119
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大審問官スターリン (岩波現代文庫) / 感想・レビュー

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HANA

スターリンが権力を握ってからその死まで、ソ連全土を襲った粛清の嵐。元来政治文脈で語られる事の多かった大粛清だが、本書は文芸の観点から読み解いた一冊。著者が語るようにコラージュの手法が採られているが、その分全体的な通史より各作家、作曲家を襲った理不尽がより感じられるようになっている。この巨大な政治機構という天災みたいなものを前にして、作家は翻弄されるばかり。押しらむは登場する作家になじみが薄く、知っているのがブルガーノフやゴーゴリ等一部だけなので、十全に読めたとは言い難い事。巻末の人物評はありがたかった。

2020/01/13

ぱなま(さなぎ)

スターリン時代の検閲史が時系列に著されているが、筆者は歴史書としてではなく文学的手法で独裁者の内面に迫ろうとしたという。芸術の価値より政治的ふるまいの手腕で生死を分かたれ、真正面から受容されることのなかったソビエト時代の芸術。年老いるごとに闇を濃くする独裁者の猜疑心と妄想の根源について考えたとき、権力者とはどうあるべきかという問いが表裏となって思い浮かぶ。表現ではなく、いかに理想化された未来を描けるかに価値を置いた社会主義リアリズムの解説も興味深い。本質的に誤ちを孕む過去とは、そこでは何の価値も持たない。

2020/01/20

DEE

スターリンによる大粛清は罪なき人々を殺すとともに文学や音楽などの芸術にも大きな影響を与えた。 作品がスターリンの意向に沿わず、あるいは誤解のせいで出版されなかったり、時には銃殺されたりと、まさに命がけ。戦った芸術家もいるが、その力に屈したとしても誰に責めることができるだろう。 そしてこんな時代は二度と繰り返してはいけない。 数々の事件の時代背景、歴史書を基にした考察などずっしり重い内容だが、文学的に書くことを目的としているそうなので、自分のような歴史に疎い人間には適した書かもしれない。そして構成が見事。

2020/08/29

毒餃子

スターリンとソ連芸術家との関わりについて。スターリンが帝政ロシア時代に二重スパイであった証拠「オラフナ・ファイル」を巡るソ連政治家の粛清構造とそれに関わる芸術家の攻防が新鮮な視点だった。「オラフナ・ファイル」と関わらない芸術家についてもNKVDからの監視やスターリンからの圧力で死亡していくのはソ連的。

2019/10/22

hatohebi

帝政ロシアの密偵だった活動履歴書(オフラナ・ファイル)が陽の目を見るのを恐れて疑心暗鬼となり、同様に脛に傷持つ者ばかり秘密警察に登用したスターリン。彼の内心の怯えと裏腹に、偉大な指導者としての虚像は肥大化するばかりだった。芸術家達は多くその虚像に目を眩まされ、多幸感溢れる賛歌を捧げた。だが時には鋭い皮肉が秘められており(あるいはスターリンがそれを感じ取り)、その「二枚舌」をスターリンは決して許さなかった。猜疑心溢れる独裁者と、それに翻弄された芸術家達の不条理劇。

2019/11/27

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