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シフォン・リボン・シフォン

シフォン・リボン・シフォン

シフォン・リボン・シフォン

作家
近藤史恵
出版社
朝日新聞出版
発売日
2012-06-07
ISBN
9784022509796
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シフォン・リボン・シフォン / 感想・レビュー

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zero1

女性作家にしか描けない連作短編集。田舎の寂れた商店街にできた下着店。この店がきっかけとなった人たちの物語四つ。最初の話は厳しい介護の現実を見せられて空気が重苦しい。病気や男でも女性下着が必要になることを再認識させられた。人は現実に、奴隷のように縛られる。そして何かのきっかけで解放される。縛られるのと解放は他人には理解できないことでも、本人にしてみたら重要。人を描くのが小説なら、本書は間違いなく小説だ。近藤は自転車競技を描いたと思えば、こうした身近な世界も書ける。地味だが見事。共感した読者がかなりいる。

2020/03/09

風眠

華やかな下着は女のアイデンティティ。母親に対する反抗であり、自分だけの秘密であり、シャンと背中を伸ばせる自信をくれるもの。機能的にはまったく必要のないレースやリボン、ちいさなバラの飾りやシフォンのフリル。けれども、そういうムダなものが女には特別で必要な要素なのだ。乳がんと闘いながらランジェリーショップを経営するオーナー、母娘の確執と介護問題を抱えている。人には見せない下着と、人には見せない心、シフォンやレースで包み込んで、だからきっと、今日も頑張れる。女の心の機微と、華やかな下着への想いが重なる物語。

2013/06/22

takaC

第一話・第二話の役割がわかりにくいというかよくわからない。だから「摩訶不思議小説集」なのか?

2016/02/14

エンブレムT

流れるような書体で『シフォン・リボン・シフォン』と書かれた白い品の良い紙袋が4つ並んでいる。綺麗なリボンを外し、丁寧に包まれたハトロン紙を開けると、中からは思いのほかドロリとしている3組の親子の物語が・・・。自分の価値観が絶対で、子供が成人してもそれを押し付け続ける親のエゴ。子供の心に刺さったまま、抜けないでいる棘。・・・レースとリボンとシフォンで彩られた魅力的で美しいランジェリーやナイトウェアは、優しく身体を包み込むだけでなく、心をも大切に包み込む。それは、目には見えないモノと戦うための、柔らかな武装。

2013/07/19

*すずらん*

読み終わった後 柔らかいシフォンで包まれて、そっとリボンをかけられた気がした。私が私を大事にしてあげて、初めて私は安らげるのではないか。誰かに誰かにと他に求めるのではなく、自身の内側に向かって手を伸ばす事も大切な事なのだ。また今作では、家族の再生という一面も描かれている。最後のかなえと母親との距離の取り方は、とてもリアルでそして何よりも優しかった。そう幸せとは必ずしも美しい物だとは限らない。キラキラした物が幸せの正体である訳ではないのだ。手に届く・声が届く範囲の中に、私達の幸せは詰まっているのかもしれない

2013/07/06

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