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芸人人語

芸人人語

芸人人語

作家
太田光
出版社
朝日新聞出版
発売日
2020-12-18
ISBN
9784023319202
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「芸人人語」のおすすめレビュー

爆笑問題・太田のお笑い論! 不道徳が面白かったテレビの世界。芸だけで食べていくこととは?

『芸人人語』(太田光/朝日新聞出版)

 爆笑問題の太田光氏は、政治や社会問題に一家言あるお笑い芸人で、テレビ番組で政治家や評論家と直に討論したり、時評的なコラムも執筆したりしている。中沢新一との共著『憲法九条を世界遺産に』(集英社)など著作も多く、芸人の中でも異彩を放つ存在だ。

 本書『芸人人語』(太田光/朝日新聞出版)をおおまかに分けると、自身のお笑い論、安倍政権の評価、コロナ禍の問題が扱われている。時事ネタでスルーできなかったためか、分量的には約3分の1がコロナに紙幅が割かれている。だが、筆者が本書のキモとなっていると感じたのは、劈頭を飾るテレビ論だ。

 子供の頃からテレビっ子だったという65年生まれの太田氏は、当時テレビは「不道徳であり、だからこそ面白かった」と述懐する。コント55号もドリフターズもいつもPTAから攻撃されていたが、大人が許容するような安心な番組を見ても、ちっとも面白くなかったと言う。

 歴史は繰り返す。エルヴィス・プレスリーが50年代後半に登場した時、彼の歌いながら腰を動かすアクションが卑猥だと大人たちから非難され、大問題になった…

2021/1/10

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芸人人語 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

きみたけ

著者は爆笑問題太田。「一冊の本」2019年4月号から2020年11月号までの連載に加筆修正した本です。芸人としてのあるべき論的な展開がメインかと思いきや、芸人論・政治(特に安倍さん)の話・新型コロナの3等分といった感じでした。やはり芸人としての姿勢や考え方の記述が面白かったです。テレビで勝負するなら大衆が許容する範囲内でできる芸を模索すべきとの一方、気が付いたら主戦場としているテレビは清廉潔白でなければならず、一度でも倫理を逸脱したらもう戻ってこれない場所になっていることに本人の葛藤や戸惑いを感じました。

2021/04/17

sofia

第2弾も出ているが、こちらから。ラジオ「カーボーイ」を聴いているので、太田さんがとても優しい人だと知っている。芸人の笑いからあいちトリエンナーレの「表現の自由」からコロナ初期のころの話、安倍さんの話まである。NHK「ふたりのディスタンス」での社長との距離感と、爆笑問題でずっと続けている漫才、テレビでの炎上、そして家で一人気配をなくしての執筆作業…一つだけを知っているのとは全く違う太田さんがいる。

2022/11/13

ぐうぐう

言葉は大事だ。漫才を主とする芸人にとっては、なおのこと。太田光のコラム集『芸人人語』を読んでいると、太田の言葉への厳しい眼差しを感じすにはおれない。小学三年生の少女が父から虐待を受け、死亡した事件について太田は、学校側が配布したいじめに関するアンケートに少女が残した言葉「先生、どうにかできませんか」にこだわる。「どうにかできませんか」という言葉が放つSOSよりも、「どうにかできませんか」という少女が使うには不似合いな言葉をどうして使わねばならなかったのかに、太田は思いを馳せる。(つづく)

2020/12/31

しーふぉ

東京オリンピック、ウクライナなどなど政治的な出来事について語っています。考え方は同調出来ない部分も多いですが、政治家より真剣に考えているかもしれない。安倍元首相の銃撃事件では実際に暴力により、犯人の主張が世に広まり変わっていこうとしていることに葛藤している。これには共感というかマスコミが今後どうあるべきか検証が必要だと感じた。

2023/09/03

この人はニュースをよく見て本をよく読んでるなとつくづく思う。人はいじめを楽しんでしまう(赤ん坊を笑う心理についてのくだり)、との指摘ははっとさせられ目を背けたくもなるが確かにそうだ。でも笑いの本質はいじめなのかな?それがすべてでもないような。終盤はほぼコロナ。コロナに限らず目まぐるしく変化し、かつ後で過去の発言を蒸し返されるこの世の中で自分を表現するってなかなか勇気がいることのように思える。「違和感」よりこっちがいいです。

2021/08/25

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