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小説 天気の子 (角川文庫)

小説 天気の子 (角川文庫)

小説 天気の子 (角川文庫)

作家
新海誠
出版社
KADOKAWA
発売日
2019-07-18
ISBN
9784041026403
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ジャンル

「小説 天気の子 (角川文庫)」のおすすめレビュー

【新海誠の文学世界】――過去4作の小説で表現された「大丈夫」という言葉の存在/④『小説 天気の子』

世界中のあらゆる人と人の間で起こっているコミュニケーションの本質にあるものは、「大丈夫」を送り合うことではないだろうか。おもに言葉で、それから表情や態度で、「私は大丈夫」「あなたも大丈夫」と励まし合うことで、本当は「大丈夫」ではなかったりする日常生活の礎を築こうとしているのではないか。アニメーション監督である新海誠はみずからの手で、最新作『すずめの戸締まり』の前に4作品を小説化してきた。この4つの小説には、重要な場面で「大丈夫」が顔を出す。その一語の表現の仕方に注目しながら、本稿では『小説 天気の子』(新海誠/KADOKAWA)をレビューしていく。

『小説 天気の子』(新海誠/KADOKAWA)

 小説は「序章 君に聞いた物語」の、アニメには存在しない一場面から始まる。一八歳の少年は故郷の島を出て、東京に向かっている。不安はあるが、「彼女」のことを思えば心は晴れる。〈そして、大丈夫だ、と思う。彼女がいる。東京で彼女が生きている。彼女がいる限り、僕はこの世界にしっかり繋ぎとめられている〉。

 高校1年生の夏、家出をして東京へやってきた少年・森嶋帆高は、須…

2022/10/5

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BOOK OF THE YEAR 2020投票スタート! まずは2019年小説部門を振り返る!半沢直樹じゃない、もうひとつの池井戸潤作品

『ノーサイド・ゲーム』(池井戸潤/ダイヤモンド社)

『ダ・ヴィンチ』の年末恒例大特集「BOOK OF THE YEAR」。今年の投票期間がいよいよスタート! ぜひあなたの「今年、いちばん良かった本」を決めて投票してみてほしい。  ここで改めて2019年にどんな本がランクインしたのか振り返ってみることにしよう。

 2019年の首位に輝いたのは池井戸潤の『ノーサイド・ゲーム』。左遷されたエリート社員が、成績が低迷するラグビー部の改革に乗り出す物語が、働く大人の圧倒的な支持を得た。大泉洋主演でのドラマ化や、ラグビーW杯で日本代表がベスト8入りを果たした快挙も追い風となったが、やはり決め手は作家と作品の質への信頼感。「池井戸潤は裏切らない」、そんな熱い声が2018年から2年連続の首位に押し上げた。

『小説 天気の子』(新海誠/KADOKAWA)

 2位は新海誠の『小説 天気の子』。観客動員1000万人超を記録したヒット作を、監督自らがノベライズ。映像では表現しきれなかった心理描写を盛り込むことで、鑑賞後の補完テキストとして若年層の心を掴んだ。

『沈黙のパレー…

2020/9/4

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『天気の子』は『君の名は。』からの還元…「僕自身の実感や時代の気分をエンターテインメントに」新海誠監督インタビュー

2021年1月3日の映画『天気の子』地上波初放送に先駆けて、新海誠監督インタビューをお届けします。※こちらの記事は、2019年8月10日に掲載したものを再掲載しています。

 雲の上の不思議な世界。歌舞伎町のディープな裏路地。雨が降り続く東京の街並み──。リアルとファンタジー、科学的想像力と民俗学的想像力が絶妙に混交する世界の中で、新海誠監督は少年と少女に何を選ばせたのか。本作における「自分の役割」とは何だったのか?

あの夏の日、あの空の上で僕たちは、世界のかたちを変えてしまったんだ映画オープニングのモノローグ  主人公・帆高のモノローグで幕を開ける映画『天気の子』は、そこから時間軸がぐるっと巻き戻り、海を進むフェリーの内部へと場面が移る。帆高は高校1年生で、東京へ向かう家出少年だった。船内放送が激しい雨の予報を告げると、「やった」。今なら甲板を独り占めできると外へ出て、空を見上げると額に雨粒が当たった。「……来た!」。大粒の雨が降り注ぎ、少年は「すっげぇー!」と笑顔で駆け回る。

胸に熱いかたまりが湧き上がる。密かに島を出てから半日、僕はようやく心から…

2021/1/2

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醍醐虎汰朗×森七菜対談! 2人だけで全編朗読した『小説 天気の子』オーディオブックの魅力とは?

 2019年7月に公開され興行収入140億円超のメガヒットを記録した、新海誠監督のアニメーション映画『天気の子』。監督自らが執筆した『小説 天気の子』の全編を、映画で森嶋帆高の声を演じた醍醐虎汰朗、天野陽菜を演じた森七菜が、二人だけで朗読するオーディオブックが8月28日にリリースされた。二人の対談で、その魅力を探る。

――お二人は今日、「おひさしぶり」だったそうですね。

醍醐 ひさしぶりでしたね。今年はまだ会ってなかったみたいで、七菜ちゃんにさっき「あけましておめでとう」と言われて驚きました(笑)。

森 12月に、報知映画賞の授賞式でお会いしたのが最後だったんです。1年前はほぼ毎日会っていたのに。

醍醐 ほんとだよね! また会えたことが嬉しいです。しかも、また陽菜と帆高を演じることができて。

――新海さんが自ら手がけた『小説 天気の子』を、全編朗読する。しかもアニメ本編で演じたそれぞれの役だけでなく、男性の登場人物は全て醍醐さんが、女性の登場人物は全て森さんが読む、演じる。今回のオーディオブックの企画を耳にした時、どんなことを思いましたか?

醍醐 そうです…

2020/9/26

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小説 天気の子 (角川文庫) / 感想・レビュー

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海猫

映画未鑑賞で読む。視点がけっこう変わるので読みにくく感じた部分があるが、小説としての読み応えがちゃんとある作品。「君の名は。」と同様にボーイ・ミーツ・ガールを描いたお話ではあるものの、エッジはこちらの方が効いている。特に物語後半、主人公の少年が大人や現実に追い込まれていく展開は、かなり好みでバッドエンドすら予想した。読み終わって作品の着地点に少し驚きを感じるとともに、不思議な爽快感もある。ただ人を選ぶ要素も大いにあるようにも思った。何にせよ映像映えしそうな場面多々で、アニメ映画の方もやはり観たくなる。

2019/07/23

へくとぱすかる

映画はまだこれからです。ぜひ見たい。「君の名は。」以上にアクションが多く、登場人物の立場が不安定なままで物語が進んで行くので、ハラハラし通しでした。読む前にタイトルから予想していた展開とは違っていましたが、予想通りなら映画の時間枠にとても収まらなくなるでしょう。ボーイミーツガールの要素とパニックの要素との同時進行。意外に人々のたくましさも感じましたが、気象の近未来図と考えると、ちょっと心配にもなりました。

2019/09/25

寂しがり屋の狼さん

「僕たちは、大丈夫だ」ラストで帆高が陽菜にかけた言葉。誰もが自分だけの『世界』をもがきながら生きている。その姿を誰かが見てくれている…「大丈夫?」と気にかけてくれる人がいる。そのことが大きな支えとなる。私も【必死にもがこう】かけがえのない大切な人の『大丈夫』に自分がなれるように

2019/08/18

岡本

映画版鑑賞済み。あとがきで新海監督が書いた様に映画と小説では表現方法が異なるので、小説は小説で楽しめる。映画では語られなかった登場人物たちの感情が地の文で読むことができたり、より細かい描写を読むことができたり。新海監督のあとがきとRADWIMPS・野田さんの解説も必見。映画を観た人は是非小説版も。

2019/08/20

mae.dat

(読んで欲しくて)脚本を送って、感想をデモ曲で返して、これだってなる間柄良いですね。 ペテルギウス流星群を観たいって、天文部の娘。奇しくもこちらは明日ふたご座流星群の極大。今朝は晴れていてふたご座もバッチリ見えました。流星は見れなかったけど。明日明後日辺りチャンスが有ると良いな( ¨̮ )。 2020年にやって来たネオワイズ彗星。特に7月の明け方、寝室から観える筈だったんよ。双眼鏡を枕元に愉しみにしてたのに、ずーっと曇りやった(ó﹏ò。)。1日ぐらい晴れさせて欲しかった。いや、命と引き換えなら結構です。

2021/12/13

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