はだかんぼうたち (角川文庫)
はだかんぼうたち (角川文庫) / 感想・レビュー
優希
年齢も境遇も異なる男女の恋愛、孤独、結婚の赤裸々な姿が浮かび上がるようでした。恋人の親友の主婦と不倫したり、別れた恋人との再会があったり。皆が誰かを好きになったり憎んだり。自分を飾ることなく、想いに素直に生きているからこその「はだかんぼう」なんだろうなと思いました。ただ、誰もが自分中心であるからこそ見える孤独があります。心の闇のような部分を描いているのに、愛おしく思うのは何故でしょう。幸せなんだけれど、表面的な幸せで切なさを感じるのですが、惹きつける魅力がありました。
2016/09/14
オリーブ子
帯に「著者が初めて結婚をテーマにすえた群像劇」とあって、そうだっけ??? 歯科医の桃を中心に、年下の恋人・鯖崎、桃の幼馴染みの響子…、既婚者・未婚者ともに、恋愛だけじゃない色々な気持ちが交錯していく。雨、響子の母の死から始まる物語。 確かに結婚について書いていない訳ではないけど。死のどうしようもない不在感や、母娘の緊張感なんかも、なかなかの存在感で描いている。だから、帯ほど安っぽくはないと思う。 完璧な人が出てこない話。大人たちは自己責任だからいいけど、美来は可哀想だな。 そして、群像劇は面白い。
2016/04/27
優希
再読です。年齢も環境も異なる男女の赤裸々な姿が伺えました。恋愛、孤独、結婚の赤裸々な様子が描かれているから「はだかんぼう」なのかなと思います。それは普通からはみ出しているのかもしれませんが、そこを綺麗な世界にしてしまうのが江國さんの力なんですね。ただ淡々と描きながらも浮き上がらせるものがあるのが引き込まれます。心の闇のようなものが見えながらも愛おしく感じるものがあるのが不思議です。
2018/05/07
しのぶ
結構多い登場人物が入れ代わり立ち代わり。人間関係が複雑そうに見えてこんがらがらない。如何にもリアルでありそうな心の動きを丁寧に描いている。ただ不倫や二股を当り前のように受け入れられない自分にはどうかなあと考えてしまう読後感。
2018/11/26
ケンイチミズバ
好きなひとが江國さんのファンでした。女同士、あのラストはないよとか、わかるわかるとか、楽しく話してるのを飲みながら聞いてました。当時は男が読むようなものではないなくらいで。別れて作品を読み始めたのは、その人の気持ちや考えを後になってわかろうとしたからかもしれない。歯科医で自立した桃の自由奔放さに誰かを重ねたり、情けない山口に誰かを想像しました。家族、恋人、愛人、元カレの妹、人間関係に名前はいらないと言い放つのは、自分の事がいちばん好きで都合のよい関係しか求めないからでは。なのに嫉妬したり、おもしろい。
2016/01/31
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