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「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本

「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本

「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本

作家
安田峰俊
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-03-02
ISBN
9784041069684
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「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本 / 感想・レビュー

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どんぐり

日本の出稼ぎ外国人を追ったルポ。書名の〈低度外国人材〉は、「国内の資本・労働と健全な補完関係に置かれておらず、容易に代替が可能な劣位の人材」を意味する著者の造語。ここには名ばかりの「外国技能実習制度」の実態、発展途上国から借金を背負ってやって来た労働者、ベトナムの技能実習生や偽装留学生・ボドイの問題、ウソと搾取にまみれた悪徳業者の話が出てくる。いつまでもえげつない実習制度を続けていると、日本の労働市場に外国人が見向きもしなくなる日が来るかもしれない。

2021/09/17

ばんだねいっぺい

「低度」って言うけど、敬意も賃金も払わないでは、逃亡されてもしょうがない、そして、逃亡しても野放しでは、それ故に福祉も届かない、犯罪に走らせてしまう環境を用意している。相手は、ともかく日本が「お粗末」かつ「低度」であることを自覚する必要がある。とはいえ、難しい。

2021/08/15

遊々亭おさる

単純労働に従事する安価な労働力に依存することにより、安さ便利さを享受する日本人の生活を支える技能実習生という名目で来日した外国人労働者達のありままの実態。制度の欠陥が詐欺同然のブローカーを跋扈させ、教育環境などの問題で、ものを考える文化がない若者たちを喰い物にして、外国人犯罪などの悪循環も生み出している。搾取する雇入れ企業もまた、より大きなものから搾取されているのだろう。陽が昇る国から陽が沈む国へと変わりゆく日本。人種間の軋轢が顕著になることは必定。日本人は幸せの定義を再構築する時期にあるのかもしれない。

2021/07/17

羊山羊

P19「我々は労働力を呼んだのに来たのは人間だった」冒頭で著者が引用するこの身勝手なドイツの移民問題のフレーズが本著を一言で体現する。現代の奴隷制ともいわれる技能実習生らを余りにも生々しく告発するルポ。「アウトロー・オーシャン」で描かれた、拉致されて違法就労についている人と何も変わらない。「情報感度の低い」市場価値の低い田舎者に借金を押し付けて新たな資本を想像し、また労働によって無理やり価値を生み出させていると考えると、彼らは完全に商品としてパッケージ化されている。

2022/01/27

崩紫サロメ

タイトルは「高度外国人材」をもじった造語で、技能実習生や偽装留学生として日本社会の底辺に置かれて暮らす外国人を指す。かつては中国人が中心であったが、現在はそのベトナム人が半数を占める。取材の中で、彼らのことを「情報感度が低い層」という人物に出会う。ブローカービジネスの一端を担う人の言であるが、著者も、また読者である私もその面は否定できなかった。技能実習生等の日本政府の失策が弱者を搾取し、搾取された者がまた別の者を搾取するという連鎖が出来上がっている。

2021/04/20

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