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事件持ち

事件持ち

事件持ち

作家
伊兼源太郎
出版社
KADOKAWA
発売日
2020-05-20
ISBN
9784041093122
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「事件持ち」のおすすめレビュー

「それでも人間か」事件報道は他人の不幸を娯楽にするだけ? 事件記者が見出す答えは――

『事件持ち』(伊兼源太郎/KADOKAWA)

『地検のS』『巨悪』『ブラックリスト』など、骨太な社会派ミステリーで知られる作家・伊兼源太郎の最新刊『事件持ち』(KADOKAWA)は、千葉県北西部で発生した連続殺人事件を追う若い新聞記者と県警捜査一課の刑事、ふたりを主人公にした長編作品だ。

“事件持ち”とは、自分の持ち場でやたらと大きな事件が発生する記者を表す新聞業界用語。報日新聞入社2年目の永尾哲平は、周囲からそんな“事件持ち”だといわれている事件記者だ。この物語は、永尾が“署回り”で千葉県警津田沼署に詰めていたときに、谷津干潟で他殺体が発見されるところから始まる。3日前にはその現場から直線距離で1キロと離れていない船橋でも殺人事件が起きていた。両事件とも殺害手口はロープ状のものによる絞殺。遺体の手の指が切断されているという奇妙な共通点があり、さらにふたりの被害者は小中学校の同級生であることも判明。千葉県警は同一犯による連続殺人事件として合同捜査本部を設置する。

 永尾は谷津干潟の現場近くで近隣住民への取材を進めていたときに、偶然、被害者たちと同級生…

2020/5/24

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事件持ち / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

いつでも母さん

『事件持ち』本当ならこんな言葉などない方がいいに決まってる。でも、担当者なら自分の手でペンで真相を、犯人をと思うのも事実なのだろう。伊兼さんの本作《「正義」を忘れた全ての人へ》とある。じりじりする流れが私にはちょっと長かったかなぁとは思うものの、最後まで面白く読んだ。途中何度も「けいさつ~」と𠮟咤激励したり、これが私の思う新聞記者像(丁寧な取材)と頷いたりした。この2人(永尾記者・津崎刑事)で続編があると嬉しいかも。この犯人は絶対に許せない事を記しておきたい。

2021/06/29

しんたろー

連続殺人事件を二つの視点で描く物語は既視感があるものの現代の風潮を巧みに掬い上げて考えさせられる力作になっていた…新聞記者2年目で実績も自信もなく、報道の意義にも疑問を感じている永尾、36歳で警察官として矜持が持てずにいる警部補・津崎、二人の感じている仕事に対する違和感は正に今の時代を捉えて問題提起をしている。SNSで情報が手軽に入る世の中で、新聞の立ち位置まで踏み込んでいるのが好感。サスペンスとしても二転三転する展開と終盤の緊迫感が良く、永尾の先輩・上司たちのキャラも好み、成長物語でもあるのも楽しめた。

2020/09/30

utinopoti27

千葉県内で発生した連続殺人事件を背景に、二人の『事件持ち』の生き様と矜持が語られてゆく。執拗に捜査陣に喰い下がり、ネタ追いには一切妥協しない「熱さ」を前面に出す若手新聞記者・永尾と、予断を排し、俯瞰的な視野で「冷たく」事件を追う津崎警部補。一見相容れない彼らが、やがて絶妙なコンビネーションで真相にたどり着くまでの過程が読みどころの一つだ。一方、警察と報道機関の複雑な関係がリアルに描かれるほか、捜査や報道の正義とは何か、作者の熱い問いかけに心が揺さぶられる。横山秀夫ばりの骨太なミステリを、是非ご堪能あれ。

2021/04/25

タイ子

事件持ち=自分の担当で大事件が頻発する記者という意味。元新聞記者の著者だけに熱いです、熱意がビンビン伝わるような文章に圧倒。連続殺人事件を追う2年目の新聞記者と中堅刑事の2人の立場で交互に展開するストーリー。熱い記者とクールな刑事の両極端な2人。だが、事件を追う気持と己の矜持は同じ。記者として報道は何のためにあるのか?警察との違いに取材をしながら答えの出ない問いと葛藤しながら突き進む姿に胸を打たれる。警察と新聞社との駆け引きも裏側を見るようで面白い。正義とは何か、熱く問いかける作品。

2021/06/10

さっこ

とても読み応えがありました。連続殺人事件があり、刑事と新聞記者の視点で真相を追います。己の職業に対して葛藤しながら意義を見出していく。刑事として記者として、それぞれの矜持と誇りが真摯に描かれていました。事件の真相も核となる部分はぼんやりと想像つきますが、伏線の張り方がとても丁寧で面白かった。鬼畜に人生を台無しにされた人々が可哀そう。

2021/05/04

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