蜘蛛の牢より落つるもの
蜘蛛の牢より落つるもの / 感想・レビュー
青乃108号
三津田信三の刀城言耶ものをマルっとパクった様なタイトルだなあと思いながら読んでみたら驚くべき事に物語も「ライトな」刀城言耶ものと言うべき物で。伝承。怪異。ホラー。ミステリー。以上の要素を絡めていくスタイルを殆んど踏襲している。気軽に読めるが、物語から受けるインパクトは本家には遠く及ばない。蜘蛛がうじゃうじゃ出て来るので苦手な人には不向きだし、どうせ読むなら本家シリーズがお勧めかと。
2024/01/13
yukaring
ダムの底に沈んだ村、キャンプ場での集団生き埋め事件、比丘尼伝説とオカルト要素たっぷりのおどろおどろしい物語を堪能できる1冊。渇水で水が涸れ村が姿を見せた時に現れる"アレ"の恐怖。オカルトを信じないライターの指谷が出版社の依頼で六河原村の生き埋め事件を調べ始める。干上がりつつあるダム湖の側でテントをはり、生き残った関係者たちに話を聞くが皆なぜか怯えてしまっていて・・。次第に指谷の周りで起こりはじめる異変。人間の悪意なのかそれとも怪異なのか?不可解な謎と黒い恐怖、最後まで全く気が抜けない戦慄のホラーミステリ。
2023/12/07
ままこ
ダム湖に沈んだキャンプ場。そこでは不可解な集団生き埋め死事件が起こっていた。比丘尼の伝承、不吉なことが起こるといわれる蜘蛛の年に水涸れを起こしたダム湖。「掘り出した女」「疾く埋めよ」という謎の言葉。オカルトライターが記事を書くためにダム湖の近くでキャンプをするが…。途中でオカルト推理マニアが登場して事態は思わぬ方向へ動いていく。蜘蛛の糸のように複雑に編まれた伏線。解きほぐされるにつれ、様々な要素が繋がり辻褄が次々とあっていく。人間の悪意は時に怪異に変貌する。オカルトに吸引されるミステリー。ラスト怖っ!
2023/11/17
aquamarine
「比丘尼の怨霊」により集団自殺が起きたとされている六河原村キャンプ場集団生き埋め死事件。ダムに沈んでいたそのキャンプ場が、渇水により姿を現そうとしていた。21年前のその事件を記事にしようとしているフリーライターの指谷はダム湖のそばでキャンプをすることにするが…。大量発生する蜘蛛と複数の死者でやはり気味が悪く、ホラーなのかミステリなのかわからないまま逃れるようにページをめくった。後半、ある人物の登場で一気に物語が動く。事件は思った以上にミステリだったが、色を変えたエピローグに油断し、最後は思わず息を止めた。
2023/12/13
オーウェン
フリーの記者の指谷が依頼された調査。 それは21年前に起きた六河原村キャンプ場の集団生き埋め事件。 冒頭からホラーの感じが続き、調査の段階でも奇怪な黒い影が登場する始末。 関係者が続々死んでいく中で、比丘尼の存在が明るみに。 こういった怪しげなものに対し、合理的な解決を最後に持ってくることでミステリとして成立させている。 ラストもホラーしており、比丘尼は元より蜘蛛の集団も恐怖である。
2023/11/29
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