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忘れ得ぬ翼 (角川文庫 し 4-15)

忘れ得ぬ翼 (角川文庫 し 4-15)

忘れ得ぬ翼 (角川文庫 し 4-15)

作家
城山三郎
生頼範義
出版社
KADOKAWA
発売日
2001-07-25
ISBN
9784041310229
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忘れ得ぬ翼 (角川文庫 し 4-15) / 感想・レビュー

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まつうら

太平洋戦争末期を戦い抜き、生き残った搭乗員たちが紡ぐ物語。描かれているのは、大空への憧れや、蒼穹の彼方にある自由。しかしその一方で、いつ撃墜されるかわからない恐怖と諦観。百中百死の特攻と、百中九十九死の間のにある途方もない距離感。敗戦によって引き裂かれた矜持。どのように生き、どのように死んでいくべきか。彼らの複雑な感情が波のように押し寄せる。。。いちばん目を惹いたのは小久保の一言だ。戦時中を懐かしみ、ときおり集まって語り明かす戦友たちを「生きた化石」と言い放った。戦争は過去。現在を前向きに生きていくのだ。

2022/08/06

シュラフ

戦争中は軍の飛行機のパイロットとして従軍して、戦場で九死に一生を得て、そしてそれぞれの戦後を生きる男たちの物語。各短編にそれぞれの陸海軍の名機が登場する。戦争末期という日本の敗色が濃くなった状況下で、みなそれぞれ死を覚悟している。各作品で感じられるのは、戦争が終わって生き残ったという生の歓びではなく、戦争で死に損なってしまったという喪失感のようなもの・・・月並みな言葉とはなってしまうが、”あの戦争で死んだ人たちがいて今の日本がある”、そんな歴史が戦後世代の我々の胸を深くえぐってくるようである。

2014/05/06

飛行機乗りの若者が主人公の戦争小説の短編集です。 陸軍機・海軍機ともとても詳しくお調べになっており勉強になります。『脱出』がなんか切なくて好きです。戦中・戦後を生きた主人公がどんな想いで終戦を迎え平和な時代・日本を見て過ごしているか。。

2014/04/21

G❗️襄

「九七戦」「彗星」「二式大艇」「隼」「月光」「一式陸攻」「百式司偵」「飛龍」旧日本軍で活躍した軍用機。爆弾を抱え片道燃料で飛び立っていった。生きて終戦を迎えた兵士達から命の最前線が語られる。大陸から太平洋へと戦場が拡大され、土俵際での戦いは、命の消耗を強いられ、生還の希望は絶たされる。それでも、神に護られた者、篩に残された者、引き上げられた者、引き止められた者があった。何が生死を分けたのか、神の選択があったとしか思えない。空に憧れた彼らに、せめて、蒼空に舞う喜びに浸るひと時があったものと信じたい。

2023/04/28

tsuyoshi1_48

飛行機搭乗員の戦中・戦後の人生と、その乗機を重ね合わせて描く短編9編。城山氏の文体は味わい深く、美しい情景が鮮やかに眼前に浮かぶようです。それぞれの飛行機についての知識も豊富で、特に操縦感覚に関する記述は興味深いです。

2010/09/02

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