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遠くからの声 (講談社文庫)

遠くからの声 (講談社文庫)

遠くからの声 (講談社文庫)

作家
松本清張
出版社
講談社
発売日
1976-10-27
ISBN
9784061313750
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ジャンル

遠くからの声 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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星落秋風五丈原

姉が結婚する前の交際に利用された妹は、姉の新婚旅行へもやって来た。妹の不思議な行動の意味が、霧の中の遠い声となって哀しくひびく。義兄を激しく愛しているが故に、かえって転落の道を辿ろうとする悲劇的な女の肖像であり、「遠くからの声」とはかつて中禅寺湖の霧の中から新婚旅行先まで追いかけてきて「おにいさま」と義兄に呼びかけた義妹の言葉を意味しているが、同時に、この女が魂の内部で何度も何度も打ち消そうとしたにもかかわらず、いくたびとなく燃え上がる思慕の念であり、情熱的な内面の声の象徴ということもできる。

2006/08/13

スリーピージーン

松本作品は映像化が多いので、読むうちに「ドラマで見た、これ」というものに出会う。「市長死す」は「砂の器」の一部分に似ていてこの作家の得意手法なのだなと感心する。表題作「遠くからの声」は何ということもない話なのだが、心に残るのは人物造形がうまいからなのだろうか?昭和30年代初頭に描かれたものだからどれも古風だけど、人の本質に迫るところがあるので些細な所は気にならない。だけど「尊厳」は昔の価値観を知らないと理解できないかも。対比がうまい「殺意」はこの中で一番好み。主人公の古瀬判事の祖父の真相は?

2014/01/19

桜もち 太郎

短篇集。推理小説以外も含まれる。印象に残ったのは「遠くからの声」で啓子が「おにいーさまあ」と霧の中から叫ぶ声だ。姉の夫に恋い焦がれる女心が良かった。推理小説も良い。殺人の多くは嫉妬や金がらみで起こることが多い。「殺意」「なぜ星図をひらいていたか」「反射」などコンパクトな中にもきりっと光る一本の筋が面白かった。

2017/08/10

はんげつ

松本清張の短篇を初めて読む。「殺意」や「反射」などのオーソドックスなミステリにあてはまる作品にはあまり感銘を受けなかった。「本格として読むと」という軸でどうしても評価してしまうので、想定を超えてくる凄みやツイストにやはり欠けてしまうのかな。想定内という意味では「遠くからの声」もそうだったけど、情緒のある描写のおかげでこういうのは好み。ベストとなれば、あまりにも高貴な人物への復讐を描く「尊厳」一択。すべてが無に帰してしまうあのオチがなんともいえず最高。

2019/06/02

おーくら

静かな文体でクールダウン。市長死すが良かった。

2016/08/25

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