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悪魔の話 (講談社現代新書)

悪魔の話 (講談社現代新書)

悪魔の話 (講談社現代新書)

作家
池内紀
出版社
講談社
発売日
1991-02-18
ISBN
9784061490390
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悪魔の話 (講談社現代新書) / 感想・レビュー

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マウリツィウス

【キリスト教神学定義「悪魔」】従来文化史アプローチが主とされるが旧約聖書偶像に予兆が存在するも古代オリエント遺産との二重価値性を踏まえれば成立しない。そして新約ディアボロス定義以降をも意味せず、邪悪の系譜とはセクト派生の異端論者だ。悪魔の普遍問題はゾロアスターではなく後期マニ教、つまり多神教に浸食したグノーシス属性が原因とされる。そしてメフィストは実在神話に貢献したのではなく本質は《悪魔存在の邪悪性否定論》を明るみにした。『ファウスト』ゲーテ版はその意味で遍在存在を認めた救済論とも解せる/悪魔学解体新書。

2013/06/22

ゲオルギオ・ハーン

『悪魔』をテーマに書いたエッセイ本といった内容。著者はドイツ文学の先生であとがきで悪魔について勉強したと書いている通り情報量はそれなりにある。ただ、体系的にまとまっていないことと思いついたことを気ままに書いては次の話題に切り替えてしまうので雑談でも聞いているような気分になる。文章はとても読みやすく軽い気持ちで読めるのは良いんだけど、学問的な要素がないのが個人的には少し不満だった。なにかもうひとつ要素が加われば面白い本になったかなと思いました。

2021/02/13

やま

池内紀というドイツ文学者はNHKなどで分かりやすいドイツ語を説明してくれる人だ。その人が書いた悪魔の話という本をずいぶん前に購入していたのを見つけ出して読んだ。悪魔の話、悪魔がどうやって人間世界にやってきたのか、日本の河童に似た悪魔、魔女の話、魔女狩りの話など話はあちこちに飛ぶ。人間の手伝いをする悪魔の話では、複雑な建築(橋など)に悪魔の手を借り、悪魔が人間にまんまとやられてしまうなんて話もある。ナチス(これも悪魔のようなことをやった)など、身近に悪魔はいるらしい。人の心自体が悪魔なのだろうか。⇒

2020/09/25

またの名

「聖者たちはひとり残らず悪魔の誘惑に苦しんだ。人並みはずれて強烈な悪魔の誘惑を感じることこそ、聖者たるべき者の第一の資格といった感」と述べるけど、バタイユみたいな人から見れば俗世を超えた神的次元に向かうため自分の生を悪魔的だと否定して誘惑に抗う修道士は、自覚のない自演マッチポンプ。そうなると悪魔こそが生の実在に一致してしまうが、厳密な定義なんか世界の欠如とか存在の影といった全知全能神との整合性を必死に取ろうとする曖昧な概念でしかないのは本書も認める。でも厳密にできないからと言って曖昧過ぎな語りも困りモノ。

2019/10/31

ワッピー

黒ずくめの紳士として描かれる悪魔の姿、そのイメージは日本にも上陸していたという説き起こしから、もとは天使であった悪魔と人間とのかかわりを紹介していきます。約束を破り、裏切るのは常に人間の側というのもゴモットモ。キリスト教系の悪魔のほかに、ハイネの「流刑の神々」なども引きつつ、日本にとんで河童も零落した神的存在であるというあたり、面白く感じました。とりあげられた柳田国男の「山島民譚集」は読んでみなくては…

2013/03/10

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