KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

浅草紅団・浅草祭 (講談社文芸文庫)

浅草紅団・浅草祭 (講談社文芸文庫)

浅草紅団・浅草祭 (講談社文芸文庫)

作家
川端康成
増田みず子
出版社
講談社
発売日
1996-12-10
ISBN
9784061963979
amazonで購入する

浅草紅団・浅草祭 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

佐島楓

再読。川端の作品の中で、一番謎といっていい作品だったので、今回読み直してみた。とても複雑な構造を持つ小説なのだということが理解できた。著者の視点が対象に接近したり離れたりする。浅草という土地の特異性、関東大震災の記憶なども、後世に遺すことを意識して書いているとしか思えない。川端の当時30歳前後という若さにしては溌剌としたものは感じないし、やはり読めば読むほどわからない作家だという思いが強くなる。もちろん惹きつけられるものはあるけれど、自分でもそれが何なのか言語化しづらい。

2022/05/07

佐島楓

自分の知っている浅草ではないような、猥雑さと貧困がもたらす哀しい商売の数々。未知の川端康成の世界。ちょっと衝撃を受けるくらいに。

2016/10/07

たぬ

☆3.5 スカッとした下品さと人情味があってたくましくて気さくで…特にストーリーがあるでもない雰囲気もの。言うなれば浅草の取説。関東大震災の記憶もまだ鮮明な1930年の浅草は活気に満ちている。それから5年後くらいの「浅草祭」はトーンが落ち着いてる。浅草が江戸なんかよりもずっとずっと古い町だったとはね。

2022/09/25

みつ

北村薫の『鷺と雪』に「浅草紅団」が登場したので手に取る。続編の『浅草祭』ともども、作者が多くの登場人物の話を聴く形で進む。路地奥の家で舞台の踊り服を着てピアノを叩く、断髪の紅団のリーダー弓子の登場は鮮やかであるが、男装も得意で目まぐるしく雰囲気を変えるこの不良少女が後景に退くと、街の猥雑さから活気は失せ、どこか虚しい娼婦の街になってしまう。5年後の『浅草祭』では、その印象がさらに顕著。なお、回想部分では『伊豆の踊り子』の旅行よりも前、作者10代の浅草通いも語られて、そちらの主人公の印象も変わってしまう。

2022/02/25

東京湾

「浅草公園は恵まれぬ大衆がここに棄てる、生活の重みと苦しみとがもうもうと渦巻いて、虚無の静けさに淀み、だから、どんな賑かな騒ぎも寂しく聞え、どんな喜びも悲しげに見え、どんな新しさも古ぼけて現れるのだ」かつてそこにあった風景。跋扈する不良少年少女とともに、大正から昭和初期にかけての浅草、その混沌を歩む。物語を読むというよりは観光するような気持ちで読んだ。実に猥雑としており、戸惑いながらも唆られる。小説としての出来は著者本人も苦言を呈しているようだが、地域資料、あるいは郷土文学として一読の価値はあると思う。

2020/03/10

感想・レビューをもっと見る