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ジェントルマン

ジェントルマン

ジェントルマン

作家
山田詠美
出版社
講談社
発売日
2011-11-26
ISBN
9784062173865
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ジェントルマン / 感想・レビュー

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Hideto-S@仮想書店 月舟書房

グロテスクな純愛小説。完璧な優しさを備え、周りの人間を魅了する【漱太郎】。だけど、彼の優しさは『観客』がいない場所で発揮されることはありません。それどころか、仮面の下には残虐な素顔が。十代の頃から、そんな男に恋焦がれた【ユメ】の物語。「愛情という名の通貨で天国行きの切符を買った」ジョンとヨーコの関係に自らを投影させ、未来のない恋に身を委ねます。人生を上手に転がしていた漱太郎の歯車が狂いを見せた時、物語も急展開します。共犯者として恋に殉じた【ユメ】には、漱太郎は【ジェントルマン】であり続けたのでしょうね。

2014/10/02

そのぼん

淡々とした文体ながらも、どこか重い雰囲気の作品でした。一見良識的に見える人間の嫌な部分も描かれていて、ちょっと重い気分になりました。

2012/11/08

優希

重く、苦しさが貫きました。同性愛のドロッとした感じがあります。誰もが認める優しさと美貌を持つ青年・漱太郎の残酷な美しさという本性を目の当たりにした夢生。犯罪者という背徳に魅せられた夢生。冷酷な漱太郎を愛し、守り抜くと誓う夢生の覚悟がズシンと来ます。想いが報われなくても漱太郎の側にいたいと願う夢生、自分の罪の共犯者として夢生を利用する漱太郎。背徳と歪んだ愛の香りに包まれているようでした。鮮血に満ちた綺麗な悪の「ジェントルマン」。狂気ではあるけれど、ひとつの純愛の形を描いているのは間違いないでしょう。

2015/04/19

あん

誰もが羨む美貌と優しさを併せ持つ紳士的な漱太郎の残酷な本性を知り、その罪の共犯者となったことで漱太郎に強く惹かれ虜になってしまった夢生。 虜になっていく過程は納得いったし、私も夢生のようになってしまうのでは?思えてしまった。 漱太郎は人としては尊敬できないし、信用出来ないとけれど、人を惹きつけるだけの魅力は確かにあった。 そんな漱太郎を愛しすぎてしまい、独占したいがために殺めてしまった夢生の気持ちが、私にも少しはわかる。 怖いけれどとても耽美なお話でした。

2014/09/06

藤月はな(灯れ松明の火)

裏で女を犯し、人を馬鹿にし、陥れている最中でも損ねることのない品の良さと優雅さを兼ね備えた漱太郎。そして第三者として人人々を観察し、己の尺度で評価することを内心、悦にしていた夢生。彼らは共犯関係になったことで「告解室の神父と罪人」と化した。美化されやすい「愛」という名に欺瞞した「妄執」に囚われ、行き着いた先は最も陳腐な事実でしかない。罪に対する罰はいつか払われるものだが、その罰は相応のものだったのだろうか。残された者はどうなってしまうのだろうか?結局、彼らの関係は一方通行でありながらも閉じたものでしかない

2015/03/13

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