文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)
「文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)」の関連記事
【京極夏彦特集】今に連なる原点にして、紡がれる伝説。「百鬼夜行」シリーズ全作ガイド
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年10月号からの転載です。
「巷説百物語」「書楼弔堂」など多くの人気シリーズを抱える京極夏彦さん。その代表作といえば何といっても累計1000万部を超える「百鬼夜行」シリーズだ。17年ぶりの長編『鵼の碑』刊行を間近に控えた今、シリーズの歩みと既刊の内容をおさらいしておこう。 *束幅・重さは編集部調べ。環境によって若干の誤差がある場合がございます。
文=朝宮運河
エンタメの歴史を変えた伝説的シリーズの歩み
1994年9月にシリーズ第1作『姑獲鳥の夏』が刊行されてから29年。「百鬼夜行」シリーズは長編9作、中短編集6冊を擁する一大シリーズへと成長した。今日までの累計発行部数は1000万部以上。2005年には『姑獲鳥の夏』が映画化されたのに加え、日本推理作家協会賞受賞のシリーズ第2作『魍魎の匣』が07年に映画化、08年にテレビアニメ化、19年に舞台化されている。昨今の妖怪ブームを牽引し、各界のクリエイターに影響を与え続ける「百鬼夜行」シリーズは、日本のエンターテインメントのあり方を大きく変えた。 物語の舞台は、戦…
2023/9/10
全文を読む関連記事をもっと見る
文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫) / 感想・レビュー
nobby
冒頭から彼は問う「貴方にとって生きて居ることの意味は?」数百羽もの鳥の剥製で溢れた“鳥の城”で次々と死にゆく花嫁達、そこに君臨する黒い鶴は鳥の女王か陰摩羅鬼か…前作でシリーズ整理したかの様に今作はシンプル展開で読みやすい。それでも「不思議なことなど何ひとつ起こっていない」事件が繰り返す様には翻弄される。今回の語りは儒学の見地、生と死を魂魄を例に語り、また存在の有無や家族から孝を語る。その荒唐無稽ともいえる真相に、嘲笑さえ吹き飛ばす驚愕に圧倒されながら、悪意なき解釈の相違による瑕(きず)がたまらなく切ない…
2019/03/07
ちょろこ
せつない一冊。今作は前作が派手派手超長編だっただけに、地味目というかスタートから盛り上がりには欠けた。でも湖畔に佇む洋館「鳥の城」を舞台に婚礼の晩、死す花嫁の謎を解く展開は雰囲気から好み。関口さんと大御所作家とのシーンは書楼弔堂っぽくて好き。榎木津さんは叫んでばかりながらもやっぱり癒し。5人目の花嫁の死は阻止できるのか…犯人は薄々わかってしまうけれど、京極堂の憑物落としが一気にしんみり、せつなさを運ぶ。取り巻く世界、普通か否かのその違いの要因に胸打たれ、ミステリとしてはシンプルながらも忘れられない巻。
2023/10/08
優希
ミステリーとしてはフェアではないのですが、そこがこの物語の意図とも言えるでしょう。湖のほとりに佇む洋館「鳥の城」で起きる殺人事件。犯行が可能なのは由良伯爵ただ一人。その可能性が否定された中で犯人を見つけていくという常識を超えた物語の展開に引き込まれます。伯爵が犯行不可能であれば、一体誰が犯行に及んだのか。伯爵の真実とは。全てが明らかになったとき、物哀しさが刺さりました。呪われた由良家の静かさが印象的です。秋彦さんの付き物落としで物語の瑕に抉られる感覚が何とも言えない心持ちにさせますね。
2016/12/26
レアル
本の題名でピーンと…。もしや??と思いながら読んだが、私の直観もまんざらではない(笑)だんだん京極さんの作品が分かり始めてきたかな。。というより今回は意外とシンプルでページ数の割に読みやすかったし分かりやすかった。面白かったこのシリーズも残り1冊。。
2014/07/14
とも
静かでゆっくりと楽しむことができた。 お盆の時期だっので、 私のまわりにある葬式、火葬、墓、仏壇、位牌。死ぬこと、生きることについて考えさせられた。
2021/08/18
感想・レビューをもっと見る