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子午線を求めて (講談社文庫 ほ 29-2)

子午線を求めて (講談社文庫 ほ 29-2)

子午線を求めて (講談社文庫 ほ 29-2)

作家
堀江敏幸
出版社
講談社
発売日
2008-10-15
ISBN
9784062761574
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子午線を求めて (講談社文庫 ほ 29-2) / 感想・レビュー

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KAZOO

堀江さんの文章を読んでいるとやはりなんかほっとする感じがします。表題作はフランス人の小説家と一緒にパリの子午線を求めて歩く小説のようなエッセイのような感じの作品です。ほかの章はフランスの作家の作品をもとに書評のような感じのエッセイでしょう。あんまりフランスは好みではないのですが堀江さんの文章を読んでいるとまた行きたくなります。

2015/04/29

James Hayashi

散文を集めたもの。仏文学者が書いたものなので、フランスの知識のない自分には難しかった。

2019/06/04

ゆき

抑制されたトーンで淡々と語られる散文は、しかしときとして上品なユーモアをまじえつつ読み手の微笑をほのかに誘います。著者を全面的に信頼して穏やかに読み進められました。セリーヌとロマン・ノワールの作家に対する論考(これが別著作『郊外へ』と繋がっているのですね。)は硬い文章ながら緻密で読み応えがありました。書物を通じて世界に真正面から対峙する著者の姿勢が「自作に対しては可能なかぎり分類を曖昧にしておきたい」という文に投影されているのですね。久しぶりに著者の作品に触れたのですが、やぱりとても好きなのです。

2009/07/15

星落秋風五丈原

海外に行くと、路面電車や地下鉄に乗ってみたくなったあなたは、本書を読んでぎょっとするかもしれない。パリの地下鉄について、「汗でぐっしょり濡れた背広も皺くちゃのドレスも〜コールタールと石炭酸がぷんぷんにおう階段を雪崩をうって転がり落ち、まっ暗闇に吸い込まれていく」なんて書かれているのだから。花の都といったって、日本のラッシュ時とあまり変わらない。第一章は、そんなパリの街角にこっそり置かれている円盤を探す過程を描いている。以前はパリを通過する経線が子午線とされていた。

2008/11/07

つーさま

グリニッジ子午線より以前から存在していたパリ子午線。その線上に点在するARAGOの名と南北の記号が刻まれたメダルを探しにパリを歩きまわる表題作。ユーモアの滲む軽やかな文章を案内人に、絶えず蛇行する著者の足取りを辿っていくと、華やかな中心部を離れ外へ外へ進み、やがて見えてくるのは郊外の風景。その土地は貧困の掃き溜めであり、またセリーヌをはじめ多くの作家を生んだ文学的土壌でもある。そして彷徨とも言うべき探索の果てに現れる、浮浪者に煙草を巻いてやるラストは、堀江作品の中でも印象的なシーンとして記憶されるだろう。

2013/08/08

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