あやめ 鰈 ひかがみ (講談社文庫)
あやめ 鰈 ひかがみ (講談社文庫) / 感想・レビュー
祐紀
松浦寿輝節と言い得るであろう、この現と幻との交錯、出入り。夢とも現実とも言えない、曖昧な時間での出来事。素晴らしい。
2009/05/04
tomo*tin
生と死の狭間に揺れる一夜の夢。美しく描かれる三つの頽廃。全く違う三篇ですが、それぞれがリンクし交差しながら素敵な幻想世界へと強制連行してくれます。とにかく「あやめ」は絶品。そして「鰈」で鳥肌。
2008/11/13
いのふみ
死んでいるのだろうが、死んでいないような醒めた意識による宙吊りの感覚に、冒頭から引き込まれた。泥濘の夢幻世界をつくりながら、現実と接地したままの絶妙な塩梅はどうやってつくられるのか、その手法が気になった。
2020/09/18
龍國竣/リュウゴク
三篇の物語がある。著者に「ボロメオの環」に譬えられ、絡み合う物語。その境界が曖昧になっていく。そうして、三つの題名も密接に繋がっていく。さらに、生と死、現実と夢といった根幹をなすものの境界も消えていく。相互作用によって磁力を生み出す一冊の本。
2013/10/24
hirayama46
半ば死んでしまったような男や完全に死んでしまった男たちが夢か現かわからないようなこの世界を彷徨する話。濃密だけどすらすら読める文章が良いです。3作の中では腐っているのか新鮮なままなのかわからない鰈を持ち運んだまま地下鉄をさまよう「鰈」が好きかな。/幸福感という感情の持つ切なさについて思いを馳せたりもしました。
2012/12/16
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