新装版 呑々草子 (講談社文庫)
新装版 呑々草子 (講談社文庫) / 感想・レビュー
saga
2020年最後の読了になろう。江戸の師匠・日向子嬢の紀行ともエッセイとも言える本書。相棒のポと思いつくまま気ままな旅。寝台特急で一杯、温泉で、祭で、ベニテングタケで一杯だ~! しかし「隠居志願」生命線の短さをカミングアウトした師匠。彼女はもう自身の病のことを悟っていたのかも知れない。カバーの犬を抱えた全裸(?)の師匠の若々しさも、何となく悲しみを誘う。高速夜行バス・鹿児島往復は、後の「水曜どうでしょう」を彷彿させる。
2020/12/31
かっぱ
思いついたちょっとおバカなことを盟友ポちゃんを伴い即実行に移す。旅の途中、旅先で呑々。酒に強いのはじっちゃん譲り。隠居宣言して34歳にして漫画家から江戸風俗研究家となる(本文にはご自身の病気のことは一切記載されていないが、この隠居宣言の裏には血液の免疫系の疾患により漫画を描く体力が無くなっていたことがあるようです)。酉年に鳥取に鳥を食べに行くの回で、地元の人にいまはカニだよ、ここまで来てカニ食べないことはないよ、と言われても、目的以外のものには見向きもせず、鳥の店を探し当て鳥料理に舌鼓を打つ。あっぱれ。
2016/12/05
ドナルド@灯れ松明の火
杉浦さんの現代版黄表紙。講談社の「ポ」女子と二人で、日向子さんが思いついた地に行き、見聞を広めたり確かめたり。食・酒をかかさず、ポ女子と繰り広げる会話や行動が楽しい。もちろん日向子さんのエッセイは秀逸だし挿絵や4コマ漫画もふんだんに掲載されている珠玉本!お薦め
2015/12/27
夜間飛行
巣鴨とげぬき地蔵の縁日を「人、物、匂い、色が道に溢れ、賑わいぞめき華やいでいる」「ここは此岸と彼岸の間に横たわる、図太いバザールだ」と見る。江戸という彼岸とこっち側を行き来した日向子さんには、どんな俗っぽい物も小さなことも、人の情が花咲くように見えたのだろうか。飛騨の男祭に繰り出して、祭たけなわ、終電の刻迫ったシンデレラはコオロギの孵化しそこなう姿を想い、慌てて駅に走る。はてまた夏ホテルでのハイレグ姿、かと思えば男の尻を見に讃岐善通寺へ。蕎麦たぐる姿に見とれさせ、愚行三昧に呆れさせる。粋で楽しい一冊です。
2013/08/28
Ai
バブルのころの週刊誌のコラムなんでしょうね。 たぶん、いまじゃ雑誌のコラム書くのにこんな取材させてもらえないんだろうな~って思っちゃうような無鉄砲で贅沢な紀行文(?)です。どこに行っても、食べて、飲んで、なのだけど。300ページを超すのだけど飽きずに読めるのは、日向子さんの江戸っ子っぷりがあるからでしょうかね。
2019/09/29
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