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瑕疵借り (講談社文庫)

瑕疵借り (講談社文庫)

瑕疵借り (講談社文庫)

作家
松岡圭祐
出版社
講談社
発売日
2018-05-15
ISBN
9784065117347
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「瑕疵借り (講談社文庫)」のおすすめレビュー

あなたは自分の部屋の“前の住人”を知っていますか…? 訳あり物件にひそむ謎

『瑕疵借り』(松岡圭祐/講談社)

 世の中にはたくさんの「訳あり物件」がある。なかでも一番やっかいなのが、「心理的瑕疵(かし)」と呼ばれるものだ。これは、部屋自体には問題がなくとも、過去に自殺や事故の現場となっていて、住む人の不安を掻き立てるような瑕疵のこと。こうした瑕疵のある物件には、当然入居する人たちへの告知義務がある。だが、正直に告知すれば入居者は減ってしまうため、管理者たちは日々頭を悩ませているようだ。それならば、代わりにその部屋に一定期間入居し、その告知義務を失効させる仕事があったとしたらどうだろう…?

 本稿で紹介する『瑕疵借り』(松岡圭祐/講談社)は、そんな都市伝説から生まれた架空の職業――“瑕疵借り”を題材にした短編ミステリだ。著者の松岡圭祐氏は、『万能鑑定士Qの事件簿』(KADOKAWA)や『探偵の探偵』(講談社)など多数の人気シリーズで知られるベストセラー作家。瑕疵借りである藤崎達也が、さまざまな事情を抱える訳あり物件に住み込み、その瑕疵の原因を突き止めていく。

 第1話「土曜日のアパート」では、単身者用アパート「メゾンK」の20…

2018/7/8

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瑕疵借り (講談社文庫) / 感想・レビュー

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三代目 びあだいまおう

松岡先生の大ファンを自称する私にとってもなかなか珍しいテーマでした。『瑕疵』という言葉自体、不動産や特定の業界以外では余り耳にしないのでは?いわゆる事故物件、訳あり物件のこと。殺人事件が起きた家等、怖くて住みたくないと思われる瑕疵物件を敢えて借りて住む男、藤崎がキーマンの短編集。怪しい雰囲気と怖さが漂う気がしますよね❗この作品は全く違います。確かに不幸や不運などが瑕疵に影響しているが、関係者の誰もが藤崎と接することで辛い過去や諦めの人生と決別し一歩を踏み出す再生ストーリー!優しく残る余韻が心地よい‼️🙇

2019/07/10

短編集。イメージとは違っていましたがまあまあ良かったです。昔不動産営業をしていたので瑕疵物件のことは習いましたがこんなからくりで瑕疵物件の質の緩和をしてくれる瑕疵借りががいるとは知りませんでした。藤崎さんの冷静な状況把握はただの瑕疵借りにはありえないけれどよよく出来た話だと思います。最初の『土曜日のアパート』が1番感動しました。

2018/08/05

いつでも母さん

事故物件とは聞いたことがあったが、なるほど瑕疵借り。賃貸ミステリー短編4話。それを生業にしている藤崎の存在は、不気味だが必要でもあるね。きっと無表情な男なのだろうな・・けれど優しくもある。今日もどこかの訳け有り物件で瑕疵借りを務めているのだろうな。4話とも切ない話だった。

2018/06/13

ひさか

2018年5月講談社から、単行本と文庫の同時刊。書下ろし。4つの連作短編。瑕疵物件となった部屋を借りていた人物の事情を明らかにする賃貸ミステリ。話の展開に少し不自然さを感じましたが、個性的な登場人物たちだとこういうのもありですね。楽しめました。

2018/09/11

utinopoti27

瑕疵借りとは耳慣れない言葉ですが、いわゆる事故物件にあえて住むことで、告知義務を消滅させる裏工作だそう。本作は、瑕疵物件に住む主人公の藤崎が、部屋にまつわる心理的瑕疵と人間関係のアヤまでをきれいに浄化するというストーリー構成となっています。ささやかな謎解きミステリが絡む「百尺竿頭にあり」を始めとした4つの短編は、いずれも家族愛や人間愛が奥に秘められていて、藤崎の思いやりに満ちた洞察力が心地よいのです。娯楽性の強い作品から、人間ドラマを深く掘り下げる作品まで、芸風の広がりを感じさせる作者から目が離せません。

2018/07/15

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