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巨悪

巨悪

巨悪

作家
伊兼源太郎
出版社
講談社
発売日
2018-06-21
ISBN
9784065118160
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「巨悪」のおすすめレビュー

東京地検特捜部が現代の日本社会に蝕む“悪”と対峙! 伊兼源太郎の最新検察ミステリー『巨悪』

『巨悪』(伊兼源太郎/講談社)

 今年2月に刊行された『地検のS』では地方検察庁を舞台に正義のあり方を問うたミステリー作家・伊兼源太郎。この前作に続いて6月に刊行された最新刊『巨悪』(講談社)もまた検察が題材になっている。今度は東京地検特捜部が、タイトルの通り現代の日本社会に巣食う“巨悪”の存在に迫る骨太で重厚な検察ミステリーだ。

 地検特捜部は、一般の捜査では核心に迫れないような政財界を巻き込む不正や汚職、脱税といった大型経済事件を専門に捜査を担う、いわば“検察庁の精鋭部隊”。ロッキード事件やリクルート事件、東京佐川急便事件など世間を騒がせた大事件を手がけてきたことで、“最強の捜査機関”とも呼ばれていたが、昨今は証拠の改竄や杜撰な取り調べなどの不祥事が明るみに出たことで、その権威は地に落ち、特捜解体論が取り沙汰されることまである。それでも、森友学園問題、リニア談合、神戸製鋼製品データ改竄問題など、東京地検特捜部、大阪地検特捜部が手がける事案は今も大きく報道されている。

 物語の主人公となるのは、そんな東京地検特捜部の特捜検事・中澤源吾と機動捜査班…

2018/6/22

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巨悪 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

しんたろー

『地検のS』が抜群だった伊兼さん2冊目。東京地検特捜部の検事・中澤と高校野球部でチームメイトだった特捜部機動捜査班の事務官・城島、二人が主役のサスペンスは骨太の社会派でありながら、組織の論理に苦悩する主人公たちや中年男の不器用な友情も描いていて読み応えタップリ。汚職や脱税の仕組みが複雑で、理解するのに時間がかかるのが難点だが「誰が味方で誰が敵?」という面白さや不審死が絡んだ緊迫感でグイグイ読まされた。評判になっていないのが不思議だが、中年男性に好まれる内容と思うので、遠くない内にWOWOWで映像化される?

2020/03/06

nobby

「法律って誰のためにあるんでしょうか、正義って何なんでしょうか、組織って誰のためにあるんでしょうか」なんだかもう何を信じていいのか分からなくなるけど…現代に生きる日本人として衝撃覚える『巨悪』の正体は、現実的にループを繰り返しているんだろう…いつもながら、それに傍観者として達観しか出来ない自分も害毒なのだろう…作品はWエースが法曹界を情熱たっぷりに駆け巡るのを実に胸熱く読ませるのがいい!全く噛み合わないパーツが終盤で完璧なまでに結び付くのはお見事!癖のある登場人物達に敵味方を見誤った面々には謝りたい(笑)

2022/08/08

utinopoti27

政財界に巣食う不正の闇に、法を武器に切り込む地検特捜部。本作は、普段は謎に包まれた東京地検特捜部のリアルな捜査事情にスポットを当てながら、法とは、正義とは何かについて鋭く問う意欲作です。一見関係のない2つの事件は、やがて震災の復興補助金に絡む複雑な金の流れに繋がってくる。次々と消えてゆく有力な関係者たち。捜査を進める元高校野球部のチームメートだった中澤と城島は、立ちはだかる巨悪の正体を暴くことができるのか・・。横山秀夫を彷彿とさせる、骨太で重厚感のある語り口が紡ぎ出す迫真の人間ドラマでした。

2019/02/09

ゆみねこ

東京地検特捜部を舞台に「巨悪」と闘う検事たちを描いた力作。かつて高校野球のダブルエースとして活躍した中澤源吾と城島毅は、とある事件をきっかけに法曹界を目指した。検事と事務官として再会し、一通のタレコミを機に政治家と巨大企業の不審な金の流れを追う。物読み、なんと地道で骨の折れる作業なのだろう。過去の政治家絡みの汚職事件やそれにまつわる関係者の自死などを思い出しながらの読了。力作でした。

2022/09/25

みゆ

舞台は東京地検特捜部。ショボいと思われた2つタレコミから浮かび上がったのは不審な金の流れと大物政治家の名。検察内部の権力闘争を絡めたバッチ疑惑モノと読み進めたが、終盤のキーを握る老人の語りが圧巻!戦中・戦後を生き抜いた人間が持つ信念は太田さんの『天上の葦』に通じるものを感じました。現代の巨悪とは何かを問う骨太な一冊だと思います('∇^d)☆!!

2022/09/19

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