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「カッコいい」とは何か (講談社現代新書)

「カッコいい」とは何か (講談社現代新書)

「カッコいい」とは何か (講談社現代新書)

作家
平野啓一郎
出版社
講談社
発売日
2019-07-17
ISBN
9784065170489
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あらすじ

本書は、「カッコいい」男、「カッコいい」女になるための具体的な指南書ではない。そうではなく、「カッコいい」という概念は、そもそも何なのかを知ることを目的としている。

「カッコいい」は、民主主義と資本主義とが組み合わされた世界で、動員と消費に巨大な力を発揮してきた。端的に言って、「カッコいい」とは何かがわからなければ、私たちは、20世紀後半の文化現象を理解することが出来ないのである。

誰もが、「カッコいい」とはどういうことなのかを、自明なほどによく知っている。
ところが、複数の人間で、それじゃあ何が、また誰が「カッコいい」のかと議論し出すと、容易には合意に至らず、時にはケンカにさえなってしまう。

一体、「カッコいい」とは、何なのか?

私は子供の頃から、いつ誰に教えられたというわけでもなく、「カッコいい」存在に憧れてきたし、その体験は、私の人格形成に多大な影響を及ぼしている。にも拘らず、このそもそもの問いに真正面から答えてくれる本には、残念ながら、これまで出会ったことがない。

そのことが、「私とは何か?」というアイデンティティを巡る問いに、一つの大きな穴を空けている。

更に、自分の問題として気になるというだけでなく、21世紀を迎えた私たちの社会は、この「カッコいい」という20世紀後半を支配した価値を明確に言語化できておらず、その可能性と問題が見極められていないが故に、一種の混乱と停滞に陥っているように見えるのである。

そんなわけで、私は、一見単純で、わかりきったことのようでありながら、極めて複雑なこの概念のために、本書を執筆することにした。これは、現代という時代を生きる人間を考える上でも、不可避の仕事と思われた。なぜなら、凡そ、「カッコいい」という価値観と無関係に生きている人間は、今日、一人もいないからである。

「カッコいい」について考えることは、即ち、いかに生きるべきかを考えることである。

――「はじめに」より

「「カッコいい」とは何か (講談社現代新書)」のおすすめレビュー

ナチスの制服を「カッコいい」と言えない理由は? 「カッコいい」をめぐる“格好だけではない”深い話

『「カッコいい」とは何か(講談社現代新書)』(平野啓一郎/講談社)

 近年、若者世代が使う「ヤバい」の猛攻により、やや弱体化しつつあるものの、やはり全世代が無意識的に使うワードが、「カッコいい」だ。

 誰もが気づいているだろうが、「カッコいい」は非常に奥深い。なぜなら、通りすがりの人のファッションやルックスを評した、刹那的で一過性の「カッコいい」もあれば、「よし、俺も彼のように生きよう」など、誰かの人生の大転換となるような、持続性があり恒久的とさえ思える「カッコいい」もあるからだ。

 さて、いったい「カッコいい」とは何なのか? その問いをそのままタイトルにして探求を深めるのが平野啓一郎氏の『「カッコいい」とは何か(講談社現代新書)』(講談社)だ。

 新書ながらも480ページのボリューム満点の本書では、カッコいいの正体をめぐり、古今東西のさまざまなカルチャー(音楽、アート、ファッション、ダンディズムなど)の歴史、さらに言語・文学・哲学史、政治・経済史、宗教・戦争史などがひもとかれていく。

■ナチスの制服を「カッコいい」と言っていいのか?

 こう紹介するとやや…

2019/8/18

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「カッコいい」とは何か (講談社現代新書) / 感想・レビュー

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はじめ

カッコイイという言葉・概念について、歴史的な変遷もリファレンスしつつその正体を解き明かしていく。何より平野氏の知識量と考察の深さに驚く。彼自身の好みも反映しながら「カッコイイ」について論じる姿勢は素直に感心した。個人の好みや思想が多様化し、また肝要になりつつある昨今から、カッコいい、が指し示す概念も単一的ではなくなっているのかもしれない。ボードレールが彼自身の態度によって示した「体感主義」的な、理由もなく、我々が「いい」と思ったその対象は既に「カッコいい」と言ってもよい時代となったのかもしれない。

2019/08/06

makio37

「カッコいい」という表現の歴史は意外と浅く、1960年代かららしい。「恰好が良い」とは異なりジャンルを超越した理想像であり、最も重要な特徴は"「しびれる」ような体感""鳥肌が立つほどの生理的興奮"を伴うということ。「クール」や「ダンディ」、ロックや女性誌との関係など、472頁かけて「カッコいい」とは何かについて語られる。資本主義と民主主義の社会で動員と消費の源になってきた「カッコいい」という概念が今後廃れて行くのか、気になる。自分としては、新しい「カッコよさ」を発見できるようアンテナを張っていたい。

2019/08/15

たくみくた

「かっこいい」について考えることは、自らの生き方を考えること。たった一つのカッコイイに忠実である必要はなく、新しいかっこよさの発見を楽しむべき。かっこいいは体験だけでは不十分であり、体感がなければならない。「鳥肌のたつ」ような痺れる生理的興奮が伴う体験に人はかっこよさを感じる。

2019/07/24

yoshi

著者自ら10年来書きたかったテーマというだけあってなかなかの気合いの入り様だな。鳥肌を信じる生き方は間違ってないなと自分を振り返っても思う。生きづらい世の中においても、魂が震える体感は自分が何のために生まれてきて、これから先の人生を歩んで行くのかの、道標になりうるものだ。僕の場合、人であれモノであれ、旅やアートや音楽や言葉や舞台とか、そんなモノゴトたちがそれだ。カッコいい人になることよりも、カッコいいことを探すことには自覚的でいたいなあ。

2019/08/02

Shohei Ito

「カッコいい」という言葉は現代ではよく使われていますが、その意味をうまく説明することは難しい。歴史や世界まで視点を広げ、その言葉が意味するものを考察した一冊。 「カッコいい」への憧れは誰しもあるかと思います。個人的にしっくりくるのはこの部分です。 「「カッコいい」人とは、社会全体で共有されるべき理想像が失われた時代に、個人がそれぞれに見出した模範的存在である。言い換えるならば、「カッコいい」人を探すというのは、「自分探し」である。誰を「カッコいい」と思うかこそが私たち一人一人の個性となる」(本書より)

2019/08/07

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