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地獄の楽しみ方 17歳の特別教室

地獄の楽しみ方 17歳の特別教室

地獄の楽しみ方 17歳の特別教室

作家
京極夏彦
出版社
講談社
発売日
2019-11-29
ISBN
9784065173848
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「地獄の楽しみ方 17歳の特別教室」のおすすめレビュー

日本語はなんでもありの言語!? 小説家・京極夏彦が説く、「日本語の不完全さ」とは

『地獄の楽しみ方 17歳の特別教室』(京極夏彦/講談社)

“言葉は、この世にあるものの何万分の一、いや、何百万分の一ぐらいしか表現できないものなんです”

 小説家の京極夏彦さんは『地獄の楽しみ方 17歳の特別教室』(講談社)で「言葉」についてそのように語る。本書は、15~19歳の聴講生に向けて行われた特別授業を基にまとめられた一冊だ。

「馬」と読んで、あなたはどんなイメージを思い浮かべるだろうか――。

「馬」と書かれたとき、それが指す「馬」は果たして、大きいか、小さいか。どんな色でどんな毛並みか。はたまた「馬刺し」を思い浮かべる人もいれば、「競馬」かもしれない。「馬鹿」や「馬力」を思い浮かべる人もいるだろう。

 すなわち、不完全な言葉に足りていない情報を補完するのは、言葉の受け手なのだ。彼が述べるように、言葉は不完全なものである。

 特に日本語は“なんでもあり”だと京極さんは言う。中国語由来の漢字表記に、日本でアレンジされたひらがな、カタカナ。外国語もどんどん取り入れて、カタカナ表記する。それに加えて絵文字や顔文字、スタンプまで使って、現代人はコミュニケー…

2020/1/17

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地獄の楽しみ方 17歳の特別教室 / 感想・レビュー

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とん大西

面白い。いやぁ、趣がありました。京極さん、きわめて真摯に、かつドライに『言葉』という不確かなものを語ってくれました。冒頭、「言葉は人類最大の発明である」と銘打ってから、そもそも過去や未来は言葉があるからこそ作られた概念であるなんてくだりはちょいと目からウロコ。『愛』も『正義』も『勝負』も…世の『言葉』を因数分解していくとその危うさや滑稽さがあらためて浮きあがってくるようです。人に自分に、受け入れて考えて放って。そんな『言葉』が私たちの人生をつくってるんやなぁ…と。感性のツボを刺激されましたゎ。

2021/10/09

さくりや

面白かった!中禅寺秋彦は京極先生をかなり投影したキャラクターなのね、同じようなことを百鬼夜行シリーズで言っていたわ。文学と関わっていると作品世界が全て、言葉が全てと思い込みがちだが切り取ったほんの小さな世界なんだよなあ。「読むことによって…それぞれの心の中にすばらしい物語を生み出せる、そうした作品であるならば、それは傑作なんです」「自分を嫌っているのも自分ですから、その場合は嫌っているほうの自分を大事にしましょう」不確かで欠損だらけの言葉だけれど、大切にしていきたいと思う。

2020/01/07

ぶち

10代の方々に向けた特別教室で、京極さんが地獄の楽しみ方を教えてくれるのです。ここで言う地獄とは、この世の現実のことなんです。地獄のようなこの世を生き抜くための"言葉"の授業です。語彙を増やして使いこなすわざを身につければ、楽しい人生を送ることができると、言葉の達人の京極さんが教えてくれます。京極さんの授業は含蓄があって機知に富んでいて、聴講しているのが実に楽しいです。若い人向けの授業ですが、年齢を問わずに誰もがヒントを得られる内容です。京極小説のファンでなくても面白く読めると思います。

2021/05/25

niisun

講談社の“17歳の特別教室シリーズ”の1つ。京極夏彦氏が15~19歳の若者50名を相手に言葉について語っています。「言葉はデジタルだから不完全」という話は至極納得。あとは、読書に関する考え方もいい!『「面白がらせてくれる」と思っちゃダメですね。読書は受動じゃなく、能動です。「面白がってやる」が正しいでしょう』とか、『本を読んで面白くないと思ったら、それはその本が悪いのではなく、その本を面白がることができない自分が悪いんだと思いましょう』とか。まあ、作家さんに言われると釈然としないところもありますが(笑)

2022/11/22

ままこ

タイトルには地獄とあるがホラー系の話ではない。若者を対象に言葉の魔術師京極さんによる“言葉“に関する特別授業を元にして構成された本。京極節そのままなので読んでると自分も聴講生として参加している気分になる。〈日本語はフレキシブル〉〈言葉は欠損してる。人は言葉の欠けを勝手に埋める〉確かにそうかも。私も“言葉の罠”にはまらないように気をつけなくては。面白がれる本が増えるように言葉の感性を磨いていきたい。

2021/07/11

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