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沃野の刑事 (講談社文庫)

沃野の刑事 (講談社文庫)

沃野の刑事 (講談社文庫)

作家
堂場瞬一
出版社
講談社
発売日
2022-06-15
ISBN
9784065278161
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沃野の刑事 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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あすなろ

刑事シリーズ3部作最終巻。良い意味でいつもの堂場氏との筆とは異なる気がする。俗にいう政治の季節の終焉の頃、登場人物達の55歳定年が見えて来た頃の事件が描かれている。その内の1人の息子の自死から展開する今回巻。戦前・戦中・戦後と生きたこの3人が駆け抜けた時期というのは、日本史上、自分達よりも激しい変化と混乱に相対してきた世代がいただろうかと1人の登場人物に語らせるが、確かに言われてみればそのとおりであり、珍しいこの時期の警察小説を3巻に亘り堪能させて頂いたのである。

2023/05/06

KAZOO

堂場さんによる昭和の時代における刑事の生き方を書いた 三部作の最後は昭和45年です。友人の息子が自殺をしてそこで今までに出てきたやはり友人の公安にいる人物と会い主人公はその原因を一緒に調べ始めます。理事官となっている主人公はその自殺の裏にあるのが大きな事件のもととなっていることを突き止めます。むかしの公安の人物が政治家となっていてその黒幕ですが、以前からつながりのあった検事にその資料を渡します。最後にはよど号ハイジャック事件が起きます。次はないのでしょうね。平成の時代は政治家と記者の対決の三部作ですね。

2023/02/04

えみ

ここに描かれていたのは凄い刑事なんかじゃない。苦心惨憺と刑事の道を歩んできた信念に生きる2人の男の姿である。『日本の警察』シリーズ第三弾。時は流れ、理事官になっていた捜査一課の高峰靖夫と公安一課の海老沢六郎。守るべきものは個人か国か。例え相容れなくても彼らには自分の「正義」に正直でいてほしい。戦中戦後と、昭和時代を警察官として生きてきた各々の「正義」への思いは、読了した今だからこそ心に深く染み入る。前作で決意の決別をした2人が友人の息子の訃報を切っ掛けに再会するが…。これぞ警察小説の原点、一貫した正義だ!

2022/06/19

keiトモニ

解説の“骨太にして壮絶な昭和の警察史”とはよく言ったもの。昭和44年私は、TV中継の安田講堂攻防戦を下宿で見ていた。東大入試中止で受験地図は異様。だからこそ自死した小嶋和人の大学同級生、近現代政治史西田研究室岩尾の“この研究をすればするほど学生運動なんか無駄なものだとわかってくるんですよ”…が理解できるのだ。ほんと無駄だった。渋谷の酒場で安保議論し、喧嘩になり海老沢が仲裁した城東大経済学部3年畑本の“日本はもっと豊かになるべきで、共産主義の思想で遊んでいる場合じゃないんですよ”…当時の活動家よ、分ったか!

2023/08/15

ゴルフ72

3部作の最後もスッキリしないものになってしまったが、これも致し方ない事か?海老沢&高峰が久しぶりに事件解決(友人小嶋の息子の自殺)へと共に動く。時代に翻弄されつつ汚職や軋轢の中での事件の真相が判明し始めるとともに重苦しい時間が流れ始める。多分スッキリとした終わりにはならないだろうと想像したが・・・やっぱり!さあ堂場さんこの続きはどうしますか?

2022/09/21

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