新作『龍の墓』で本格ミステリー再挑戦! デビュー30周年を迎えた貫井徳郎インタビュー
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年1月号からの転載です。
貫井徳郎20年ぶりの本格ミステリー挑戦! 奇怪な連続殺人事件を描いた『龍の墓』は構成の妙あり、論理的な謎解きの快感ありと、凝りに凝った長編作品である。
取材・文=杉江松恋 写真=川口宗道
「書き始めたときは、本格になると全く思ってなかったんですよ。普通本格ミステリーって、事前に緻密なプロットを組んでから始めるものなんでしょうけど、僕はそういうタイプの作家じゃない。とりあえず書いてみたら、3分の1くらいのところで『あれ、これ本格なんじゃないの』って気づいて、そこから謎解きとしての骨格を補強していきました。もちろん最後のトリックは決めてあったので、そこに向けて書いていけばよかったんですけど、作中に出てくるゲームの殺人は、あまり綿密に詰めていなかったんです。そっちもちゃんと書かないと、と気持ちを締め直してかかりました。本格ミステリーは、20年前に『被害者は誰?』という本格作家のパット・マガーとアントニー・バークリーのオマージュのような連作短編集を書いたんですが、それ以来だと思いますね」
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