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天災ものがたり

天災ものがたり

天災ものがたり

作家
門井慶喜
出版社
講談社
発売日
2023-07-26
ISBN
9784065297797
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天災ものがたり / 感想・レビュー

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旅するランナー

天災は忘れた頃にやって来る。甲斐の鉄炮水、三陸の津波、鎌倉時代の飢饉、富士山の噴火、江戸の大火、新潟の豪雪。実際に過去に起こった天災を基に作られた物語。やはり若き武田信玄が治水工事に情熱を燃やし、大武将への足掛かりとなり、その後の都市開発の在り方を変えた一編が特に面白い。天災はいつか必ずやって来ることを読者に知らしめる、門井慶喜は天才だ。

2024/02/02

パトラッシュ

災害の前には誰もが等しく無力であり、家族や財産を失いながら助かった者は明日から生きるため何をすべきか考えねばならない。家中の反対を押し切って堤防建設に邁進した武田信玄も、津波で流された家の再建に苦しんだ漁師も立場は同じだ。飢民を救うため奴隷として買った商人も、生きるため信仰を棄てたり富士山噴火から逃れた男も政治の理不尽で追い詰められる。しかし近代では、最終話で浜尾先生が「激甚災害に関する限り、地方というのは存在しない」と語るように一地域だけの問題ではなくなる。日本で生きるとは災害と共生することなのだから。

2023/09/15

あすなろ

全て題名のとおり天災を扱っているが、時代や天災の種類はバラバラである。しかしどれもこれは読んでおくと良いのではないかと思わせるものばかりだった。既読の吉村昭氏小説や磯田道央氏新書を思い起こさせる短編ばかりであり、現代を生きる我々が忘れがちな歴史上の先人達が身を挺して示している天災の歴史がここにある。つまり明日は我々の誰かが実は何らかの天災に遭う可能性がある訳であるが、それから身を護る等を知るという事がこれらの歴史を学ぶという事で大事な事である。しかし、我々はそれをいつも忘れて生きている事に気付かされる。

2023/10/15

のぶ

天災の起きた時に、人はどう生きていくのかを描いた六作からなる短編集。タイトルに「天災」の文言が入っているが、描かれている天災は、河川の氾濫、地震、津波、火事、飢饉、豪雪、火山の噴火で、その中の火事は明暦の大火、飢饉は鎌倉時代の大飢饉の話で、明暦の大火は人災ではないかと思うし、飢饉も失政が招いたものではないかと思うが、いずれにせよ災害そのものよりも、そこで生きた人を描いているので、読んでいて人の気持ちがよく伝わって来る。いずれにせよ冷静な視点から物語を創っている事に好感が持てた。

2023/08/05

うののささら

世界各国で起きている災害とマスゴミによる人災。甲府盆地の水害。戦国時代は治水の発展期。民政が国力をたかめ農業生産だけでなく忠誠心にもつながる。信玄堤は河川改修、遊水地保全など総合制御システムで大都市形成に役立っていく。その他三陸沖地震、宝永の富士山噴火、明暦の振袖大火、ロリコン教師など災害について書かれている。他にも中国がばら撒くウイルスやシステム障害、移民による混乱などリスク多いな。突然襲ってくる災害の備えや心構えが必要だな。やれやれ。

2023/09/27

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