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浪華燃ゆ

浪華燃ゆ

浪華燃ゆ

作家
伊東潤
出版社
講談社
発売日
2023-03-15
ISBN
9784065308134
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浪華燃ゆ / 感想・レビュー

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旅するランナー

大塩平八郎の乱。日本史を学んで、ある程度は知ってましたけど、事件の詳細や大塩先生の人間像までは分かってませんでした。この本を読むと、与力としての実績、教育者としての実現、人間としての実直が見えてきます。為政者たちのだらしなさへの義憤は分かるんですけど、やはりテロ行為はダメですよね。しかも、将来有望な弟子たちを巻き込んじゃあイケない。リーダーの暴走が悲劇を生みました。

2023/05/04

パトラッシュ

本書で描かれる大塩平八郎は、有能だが現実より理想を優先してしまう男だ。出世の妨げになろうと自分の信じた道を突き進み、上司に忖度せず己の信念を貫く。こうした突破力のある人材は仕事に意欲的な上司には使い勝手がよいが、出世しか考えない官僚にはうるさく邪魔くさいだけだ。現役時代は物のわかる奉行の下で功績を上げたが、隠居して学問に専念した頃から幕府の無能と腐敗が悪化したのが純粋な理想主義者の平八郎には耐え難かった。大坂町民もわかっていたからこそ乱を支持したが、同時に無能な革命家としての姿も抜かりなく書き込んでいる。

2023/04/17

hiace9000

大塩平八郎ー、「太虚」なる境涯を求め、謹厳実直にして高潔高邁を生涯貫き通した人物。平八郎が如き傑出した人間は、今の世にあっても組織内での出世は叶わぬのかも知れない。後世に永く留まるその志は、別の意味で、そのように生きる人の少なさの証左とも言えよう。読み手にその解釈を委ねるべく、平八郎の人となりを正視眼で捉え、淡々と綴る伊東さんの筆。革命的思想の末、もはや殉教同様の決死の同志と血路を開かんとした壮絶な覚悟には胸が塞がる。美化は避けねばならないが、“民のため”という一点のために我が身を擲った信念には感嘆した。

2023/05/14

のぶ

今回、伊東さんが選んだ題材は大塩平八郎の乱。自分にとって名前は知っているが詳細を知らなかった江戸幕府に対する反乱。当時の世間の情勢や事件に至る経緯がとても詳細に描かれていて、また一つ知識が豊かになった。ただ大塩平八郎の人物像が大坂の奉行役与力として非常に真面目なため、小説としての前半部はやや退屈。豪商から購入した米を新将軍徳川家慶就任の儀式のため江戸へ廻送していた事の事情や、大坂町奉行所の不正等、乱に至る史実を知り納得した。一日で鎮圧された反乱だったが、平和な江戸時代にとっては一大事だったのだろう。

2023/04/04

万葉語り

水清ければ魚棲まず。秋霜烈日を地でいくような生き方は、世俗に生きざるを得ない一般人には難しく、理想を追求するのは勝手だが、周囲の人に同じことを強要するのは私塾の長として何か間違っていると思った。最後に大塩平八郎の死後30年で幕府が滅んだとあったが、彼は30年早く生まれてしまったのだと思う。歴史に名を残したが、こんな残し方はきっと不本意なのだろう。2023-111

2023/08/27

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