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一線の湖

一線の湖

一線の湖

作家
砥上裕將
出版社
講談社
発売日
2023-12-13
ISBN
9784065336816
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「一線の湖」のおすすめレビュー

『線は、僕を描く』の続編小説が刊行! 筆を置くよう言い渡され、スランプに陥る霜介。描けなくなった彼は再び筆を握ることができるのか?

『一線の湖』(砥上裕將/講談社)

 デビュー作にして2020年「本屋大賞」第3位、2019年「王様のブランチ」BOOK大賞を受賞した砥上裕將氏の『線は、僕を描く』(講談社)。その続編となる『一線の湖』(講談社)が発売された。

 湖山賞の展覧会から2年が経ち、大学3年生になった主人公・霜介は、師匠の篠田湖山のもとで精進する日々を送っている。そろそろ将来について考えなければならない時期に差しかかるが、職業画家の道を歩むか、就職活動に力を入れるべきか悩む。霜介とは対照的にライバルの千瑛は、2年前の受賞を踏み台に、水墨画界期待の若手として大活躍中……という状態から物語ははじまる。

 前作では、深い喪失を抱え、人生の停止状態にあった霜介が水墨画との出会いで快復し、再生していく過程が描かれていた。今作では、その後の霜介が“未来”という新たな壁にぶつかって悩む姿が展開される。

 デビュー戦となる揮毫会(観客の前で水墨画を描く実演会)で失敗を犯してしまい、大きくへこむ霜介。そんな彼に湖山は、しばらく筆を置くようにと言い渡す。自分は湖山会の足を引っ張る存在なのか。先生から…

2023/12/19

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一線の湖 / 感想・レビュー

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夢追人009

水墨画の世界を通して前に進み成長するナイーブな青年・青山霜介の人生の物語。本書を読んで一度も挫折する事なく失敗もせずに順風満帆な成功だけの人生を送る事が出来たらそれはそれで素晴らしいだろうけれど、苦い失敗を経験して苦労を重ねて貴重な何かを掴んで行くことは非常に有意義だなと思いましたね。周囲から期待される場でしくじって大恥をかいても深くは傷つかずに立ち直れる事も強い性格で特技だと思いましたね。精神の修練の小説で彼はもう大丈夫だし進路は必然でしょうけれど惜しい気もまだしますので再び三度戻ってきて欲しいですね。

2024/01/31

starbro

砥上 裕將、3作目です。 『線は、僕を描く』の第二弾にて完結篇、二番煎じにならず、水墨画青春成長譚の秀作でした。映画を観たので、主人公 青山霜介は、横浜流星のイメージで読みました。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000382619

2024/01/26

いつでも母さん

若者は迷うものだ。あれから2年・・繊細過ぎて言動にもハラハラ心配する私は母。我が子なら「大丈夫!」って背中をバーンと喝を入れたいところだ(汗)あの時掴んだと思った感覚は幻だったのか。独りでは生きていないのだ、青山霜介。人との関わりの中で、自然の中できっと気付くと師匠・湖山には見えていたのだろうな。それぞれの思いと技が集約される最後の揮毫会が圧巻。水墨画の展覧会に行ってみたくなる本作。前作ほど心の震えはなかったが「時をかけて、霜介だけの宝物を見つければいいんだよ」彼岸で母は願っていると思うな。私の宝物は何?

2024/01/10

future4227

『線は、僕を描く』の続編。主人公の青山君(もはや横浜流星で脳内再生)は相変わらずネガティブ思考で、過去の不幸な境遇から立ち直れないままでいる。その上、様々なアクシデントに見舞われ、まさに身も心もボロボロ。そんな彼を温かく支えてくれる周囲の人たち。水墨絵を描くときの筆遣い、墨汁、紙質、筆の毛先まで細部にわたり描きこまれているため、やや冗長すぎるきらいがあるが、そのおかげでどんな絵を描いているのか映像としてイメージできる。果たしてイメージ通りの絵なのか答え合わせをしたいので、これも映画化を期待したい。

2024/01/12

hirokun

★4 この作品を読んでの読後感をなんと表現したらよいのだろう?自分の表現力の拙さにより、うまく言い表すことが出来ないが、兎に角なんかほっとした気分にさせられた。水墨画については、著者自身が水墨画の作家であるためか、専門的な表現、解説が至る所に出てくるが、黒と白の極めて淡白な表現手法と取りながら、森羅万象を表すこと。余白の美を追求していること。水墨画が中国において禅と結びつきながら発展してきた事がよく理解できたような気がする。人生もまた芸術なのだろう。

2024/01/22

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