サロメの断頭台
サロメの断頭台 / 感想・レビュー
starbro
夕木 春央、4作目です。本書は、大正浪漫サロメ見立て猟奇復讐譚でした。『方舟』&『十戒』とは趣が違います。著者はユダヤ教徒なのでしょうか❓ https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000386714
2024/03/27
パトラッシュ
ハチャメチャが定番の元泥棒と売れない画家の迷探偵コンビが、芝居の『サロメ』になぞらえた連続殺人を追う。目の前で異常な人殺しが起きるためか主役2人が比較的マジメに推理していく普通のミステリに近い。絵画の盗作犯調査から贋作集団の存在が浮上するのは余計な感も残るが、ホワイダニットの典型である見立て殺人で読者が納得する論理的結末を用意できるのか危惧していたため、きれいに着地を決めている。犯人の動機が某容疑者Ⅹと似ており、ここまで残酷な殺害方法の必然性に疑問なしとはしないが、ミステリとしては十分合格点に達している。
2024/04/11
ちょろこ
展開に目を見張る一冊。大正元泥棒シリーズ。画家の井口が描いた一枚の絵に持ち上がった贋作疑惑。この疑惑を晴らそうとしたら殺人事件に巻き込まれ、いつものごとく元泥棒の蓮野と全ての謎解きに奔走するストーリー。おなじみの超がつくほどの細かい笑い、井口妻、紗江子さんのキャラがたまらない。今回もナイス働きが最高。終盤からは全く目が離せない、かつ目を見張る緊迫感漂う展開にゾッ。相変わらずそうするしかなかったという一連の畳み方にこの作家さんの巧さを感じた。せつなさと美しさ感じる終章が印象的。映画のワンシーン感じるラスト。
2024/04/26
yukaring
大正レトロな雰囲気が良いクラシカルなミステリの第2弾。今回は画家の井口の作品に盗作疑惑が?!濡れ衣を晴らすため友人の元泥棒、実は名探偵の蓮野と一緒に盗作犯を探す井口。犯人候補をピックアップして調べる彼だったが、盗作犯を探すうちに贋作事件そしてついには殺人事件に巻き込まれる。しかもその死体はなぜか奇妙な扮装をしていて…。天才芸術家の死や秘密を抱える舞台女優、死体に施されるサロメの見立てなど事件が進むほどに万華鏡のように様相が変わる。そして全ての謎がつながり待ち受ける真相はとてもほろ苦いものだった。
2024/05/12
がらくたどん
大正「元」泥棒探偵劇場第3弾。銀行員から泥棒に転職した経歴を持つ蓮野と古い友人の貧乏画家井口の巻き込まれ事件簿。前作で登場した骨董置時計をオランダ貴族が買い戻しに来日したついでに井口の絵を高値で購入してくれるという。ただし、盗作疑惑が解決したら。期間は三か月!井口は盗作者を自身も会員の白鷗会に絞るが。天才画家の自殺・人気女優の整形疑惑を端緒にワイルドの「サロメ」をなぞる関係者の連続変死事件の火蓋が!「今回は君の事件だ」助手に留まる蓮野。悪友大月や姪の峯子の協力で弱腰井口は無事に真相に辿り着けるのか?
2024/04/24
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