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なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)

なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)

なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)

作家
三宅香帆
出版社
集英社
発売日
2024-04-17
ISBN
9784087213126
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「なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)」のおすすめレビュー

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日本にスピリチュアルな感性の広まりで、1990年代に関心が高まったもの/なぜ働いていると本が読めなくなるのか⑦

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆/集英社)

90年代は「そういうふうにできている」  平成を代表する作家を挙げろと言われたら、私は彼女の名前を出すだろう。さくらももこ。──言わずと知れた国民的アニメ、漫画『ちびまる子ちゃん』の作者だ。

 私は尿のしみ込んだテスターを握ったまま、十分余り便器から立ち上がる事ができなかった。便座と尻の間に吸盤がくっついているかと思うほど、立ち上がるのが困難であった。  この腹の中に、何かがいるのである。大便以外の何かがいる。便器に座り込んでこうしている間も、それは細胞分裂をしているのだ。私のショックとは無関係に、どんどん私の体内の養分を吸収しているのだ。 (さくらももこ『そういうふうにできている』)

 1990年代の到来とともに、さくらももこの時代はやってきた。  1990年(平成2年)に『ちびまる子ちゃん』がフジテレビ系でアニメ化され、主題歌「おどるポンポコリン」の作詞で第32回日本レコード大賞を受賞。1991年(平成3年)にエッセイ集『もものかんづめ』(集英社)を刊行し、ベストセラー2位となる(ちな…

2024/4/27

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スマホがない1970年代、通勤電車でみんなが携帯していたもの/なぜ働いていると本が読めなくなるのか⑥

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆/集英社)

通勤電車と文庫本は相性が良い  1970年代、それは出版界における文庫創刊ラッシュの時代だった。1971年(昭和46年)に講談社文庫、1973年(昭和48年)に中公文庫、1974年(昭和49年)に文春文庫、1977年(昭和52年)に集英社文庫が創刊される。新潮文庫や岩波文庫を追いかける形での創刊ラッシュ。オイルショックによる紙不足も深刻だったなか、それでも文庫創刊に踏み切ったことで、各出版社は新たなベストセラーを生み出すに至った。廉価で携帯にも便利な文庫は、今に至るまで書籍購入のハードルを下げている。  とくに「通勤電車のなかで文庫本を読む」という風景は、このころ強く根づいたのだった。  国土交通省作成「大都市交通センサス」によれば、首都圏の鉄道定期利用者の平均移動時間は1970年には1時間以下が70%だった。が、1980年(昭和55年)には1時間以下は46%──つまり70年代を経て、首都圏の定期券利用者の過半数は1日1時間以上電車に乗っているのが普通になっていった。  ちなみに近畿圏…

2024/4/26

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なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書) / 感想・レビュー

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マエダ

忙しくて疲れていると本が読めなくなるのはわかる。すごくわかる。それを言い訳にしたくない心もある。 いいテーマの本だと思う。本書の中で「花束みたいな恋をした」があまりにもこすり倒されていたので観てみた。 最近の恋愛映画はレベルが高い。

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こも 零細企業営業

本書では、明治時代から現代に至るまでの労働の歴史と、読書がどのように変わってきたかを掘り下げる。各時代の社会状況や文化的背景に基づいて、労働者がどのように読書と向き合ってきたかが詳細に分析されている。特に、インターネットやスマートフォンが普及した現代においては、情報の取り方が大きく変わり、本を読む時間がさらに減少していると指摘する。著者は、半身で仕事をし、もう半身で個人の生活や趣味を楽しむことが、より豊かな人生を送るための鍵であると説く。

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塩崎ツトム

資本主義社会が人間に求めるものは「純粋」な存在であって、つまり24時間、勤め先の利益のために働く労働者であるか、24時間同じ娯楽にハマる消費者であるかのどちらかであり、「今の人生とは別の生き方があったかも」というものを見せる教養や知識、すなわち読書は「ノイズ」であり、社会に許容される読書とは、この純正であり続けるための読書「ひたすら効率よく行動し成長する」RTAのマニュアルみたいな自己啓発書だけらしい。基本ノイズばかりの脳味噌の持ち主で、そこから小説をひねり出す身としては困るのである。

2024/04/22

佐倉

『花束のような恋をした』の話から始まり忙しくて読書(=仕事以外の文化的なもの)に取り組めないという人々が抱える悩みについて、日本の労働史と読書史の双方から考察していく。『西国立志伝』から『人生の勝算』までの通史というところか。明治、立身出世への憧れとして修養→教養のラインが存在し大正~昭和には中流層にも教養志向が根付いたが2010年代以降の情報社会においてノイズの無い情報に優位性を見いだす風潮が生まれた…というところだろうか。個人的に第三、四章の円本、全集の成立や読書史における意義の話が興味深かった。

2024/04/24

のっち

☆☆☆☆★ 本書は明治時代以降の日本における労働と読書の関連性について論じた一冊。各時代・年代のベストセラーを振り返ると、その当時の本に求められた役割、読書の動機づけ、またブームの移り変わりや社会情勢の変動などが結構色濃く反映されているものだなと感じた。また自身においても、決して時間がない訳ではないのだが、特に元々好きだった小説は最早正月休みくらいにしか読むことができなくなった。しかしながら、仕事が充実することにより読書量が増えることもあると思うのだが、これが既に現代社会に毒されているということだろうか。

2024/04/18

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