旅人の表現術 (集英社文庫)
旅人の表現術 (集英社文庫) / 感想・レビュー
hatayan
冒険家の角幡唯介氏が2012年までに起こした文章をまとめたエッセイ。サバイバル登山の服部文祥、那智大滝を登ろうとして逮捕された宮城公博、登山家の心情を見事に代弁する『神々の山嶺』を著した夢枕獏、サハラに力尽きた上温湯隆、冒険の泰斗の本多勝一などの著作の解説だけでなく、『棟』の沢木耕太郎、『最後の冒険家』の石川直樹、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか』の増田俊也との対談など。富士登山の流行から現代人の性向を分析する一章にも光るものが。 『極夜行』などの重厚な角幡作品の副読本として読んでみたい一冊です。
2020/05/04
活字スキー
『空白の五マイル』で作家デビューを果たしてから『極夜行』に挑む少し前あたりまでに発表された、気になる作家との対談や影響を受けた作品の書評などをまとめたもの。なので、人によっては既読のものばかりかもしれない。しかし探検家・角幡唯介に興味を持った人が表現者(作家)・角幡唯介を感じるには最適だと思う。冒険とは何か、何故冒険を求めるのか。それは「生きるとはどういうことか、人は何故生きるのか」と同じ問いであり、臨死体験とは臨生体験に他ならず、それこそ最も自由であり、自身の生を感じられ、表現し得る瞬間なのだ。
2020/03/07
pitch
雑文集。書評とかも良かったけど、対談が面白い。特に沢木耕太郎さんにダメ出しされながらの対談なんて、ハラハラしながら読んでしまった。角幡さんにとっては、沢木さんとの対談もある種の冒険だったのでは?
2020/04/14
anken99
角幡さんの対談、他の作家の作品への解説などをまとめた興味深い一冊。中でも、ノンフィクションの旗手、沢木耕太郎さんとの対談は、大変楽しみに手にした次第。残念ながら、この対談は、どこか噛み合わない感じも否めなかったが、それについては、石川直樹さんとの対談で、本人も口にしている。その石川直樹さんとの対談は、若手?ノンフィクションライターによる邂逅という意味でも、なかなかに面白かった。あとは、角幡さんが冒険を続けるに至ったF氏に関する記述、これはある意味知りたかったことであり、本作を読んでの個人的な収穫でもある。
2020/08/24
ゆうすけ
著者のエッセイを好んで読んでいます(実はまだノンフィクションは未読)。飾らずに本音を無骨に語るスタンスが個人的にはいい。あとがきで今とは結構考え方、冒険の捉え方が違っているということではあるが、その変化も気になるところ。時系列に読んで行きたくなった。あと本書の白眉は間違いなく沢木耕太郎との対談。読んでいてここまでイライラさせられる対談はそうそうないと思う。沢木は大人気ないというか偉そうというかとにかくやな感じです。正直一体こいつ何様だ。あとは梅棹忠夫に関しての文章がよかった。京都と探検文化はなるほど。
2020/07/16
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