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君が異端だった頃

君が異端だった頃

君が異端だった頃

作家
島田雅彦
出版社
集英社
発売日
2019-08-05
ISBN
9784087711905
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「君が異端だった頃」のおすすめレビュー

“愚行、恥辱、過失”を赤裸々にさらけ出す! 島田雅彦の青春“私”小説『君が異端だった頃』

『君が異端だった頃』(島田雅彦/集英社)

 第71回読売文学賞(小説賞)を受賞した島田雅彦氏の新刊、『君が異端だった頃』(集英社)は、デビューから36年を経て現在は芥川賞の選考委員も務める著者の若かりし頃を大胆に描いた私小説だ。多摩丘陵の麓で過ごした好奇心旺盛な少年時代から、ワイルドな“カワサキ・ディープ・サウス”での煩悶、ロシア語漬けだった大学時代の自己変革、作家デビューを果たした後の文豪たちとの交流、秘められた女性関係まで、語り手である著者が、かつての自分に“君”という2人称で呼びかけるかたちで綴られる。

“そう遠くない未来、自分の記憶も取り出せなくなってしまうので、その前にすでに時効を迎えた若かった頃の愚行、恥辱、過失の数々を文書化しておくことにした。”

と作中で語られている通り、本作では“君”の人生の遍歴が赤裸々に告白されていく。少年時代の自意識の目覚めから青春の終焉にいたるまでのまさに“愚行、恥辱、過失の数々”の告白でありながら、その語り口は“君”との微妙な距離感のおかげで、どこか軽妙で突き放したところがあってユニークだ。そして、そんな本作の…

2020/3/12

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君が異端だった頃 / 感想・レビュー

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starbro

島田雅彦は、デビュー以来30年以上に渡って読んでいる作家です。本書は、自虐的な性青春私小説でした。島田マゾ彦だったとは。喋らなければ、著者はモテるかも知れません。そろそろ書くネタがなくなったのでしょうか?【読メエロ部】

2019/08/30

りんご

「人類最年長」って本がすごく面白くて、それから読む機会がなかった島田さん。自伝的私小説のこの本、また面白い!私はこの人の文章が好きなんだろうな。カワサキ・ディープ・サウス、ウケる。思春期の暗黒日記を自らこの本にて開示、作家とはこれほど魂を削って作品を作っているのか。さすが島田マゾ彦。埴谷雄高さんの「死霊」、読みたい本の一番古いやつです。ご縁がまたできてしまいましたねえ、読むしか。あと島田さんやたらにモテる描写があるので御尊顔を拝見したところ、かかかっこいいいですね。さもありなん。

2023/06/15

メタボン

☆☆☆☆★ 最も私小説からは遠い作家だと思っていた島田雅彦が、自分の恥部も厭わずに赤裸々に描いた自伝。やはり作家になりたてで、芥川賞に六度落選されたころの話が面白かった。中上健次との交遊も意外だった。ニーナと燃え上がるアメリカでの生活は良く書いたと思う。作家としてはすでに折り返しの歳になった島田雅彦、今後どのような小説を書いていくのか、また楽しみとなった。

2020/01/29

なっく

島田雅彦という小説家の生い立ちを綴った私小説的自慢話だが、芥川賞6回落選とか、村上春樹への嫉妬心とか、マゾ彦ならではの可愛い一面も。私とほぼ同じ世代だから世間の出来事は共通ながら、やっぱり小説家を目指す都会の文系学生は全然違う。こちらは広島の男子校から東京の大学に出てきた田舎もんで、しかも女っ気のない屈折した理系で実験に明け暮れる毎日(泣)。彼の経験する音楽、美術、文学、ロシア語、映画、柔道、登山、座禅、恋愛、飲酒、愚行とか破天荒で楽しそうで羨ましい。彼の作品をリアルタイムに読んでればもっと楽しめたかも。

2019/12/22

踊る猫

これが飾りなどないナマの「マゾ彦」の姿なのか、と唸らされる。才気に恵まれ知性にも溢れるあの元祖「文壇の貴公子」の中にあるのはこんなにも人間臭い、微笑ましくすらある「まっとうな」欲望や野心だったのか、と。言い換えればここにあるのは何ら時代を超越した狂気を感じさせない、スマートに卒なくロシア語や英語を自家薬籠中の物として取り入れられる「秀才」気質の作家の姿だ(その意味で、島田雅彦に近しい作家としてぼくが連想するのはあの芥川だ)。ただ、島田はとりわけ女性に恵まれることで自らの知性をより柔軟に「しごけた」のだろう

2023/11/19

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