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東京ロンダリング

東京ロンダリング

東京ロンダリング

作家
原田ひ香
出版社
集英社
発売日
2011-07-26
ISBN
9784087714111
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東京ロンダリング / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

予想以上にステキな雰囲気のある作品でした。200ページ弱のボリュームなので、サラッと読むことができ、いい意味で知らないうちに作品の独特な雰囲気に魅了されてました。地味で素朴な主人公「りさ子」さんが、どんどん存在感が強くなっていき、頼もしくさえ思えるようになりました。定食屋で働くようになり、若旦那「亮」とのやりとりも淡い感じがなんとも言えず、先が心配?になり一気に読了でした。勝手な解釈ですが、結果的に自分自身を‘ロンダリング’することで、新しい自分と向き合い、新たな一歩を歩き出せる素敵な読後感でした。

2014/07/30

みっちゃん

「いつもにこやかに愛想よく、でも深入りはせず、礼儀正しく、清潔で、目立たないように。そうしていれば、絶対に嫌われない」何もかも失い、事故物件を「浄化する」仕事をしてただ「生きている」だけの毎日。流れ流れた先で出会ったのは、ただ彼女を真っ直ぐな眼差しで見つめて「ひと」に戻そうとする男。これにはもう、私が惚れてしまうやろ!彼女の選びとった道のその先を私も一緒に見つめていたい。

2022/11/28

yanae

アンソロジー「十年交差点」でファンになった原田さん。この本の著者写真を見て、原田さんのきれいさにビックリ。そして作品の雰囲気もやっぱり好きだった。不倫の末、相手に捨てられお金もなにもないまま生きていかなければならなくなったりさ子。不動産屋で「ロンダリング」を打診される。曰く付きの物件に住むことで、曰く付きを普通物件に戻すという仕事。常人ではこなせない仕事も、りさ子にはあって続けている。谷中アパートに住んでいるうちに、ご近所さんと距離が近づいて、りさ子に少し変化が。彼女の変化も、最後もよかった。続編?へ!

2017/06/16

taiko

都内の訳あり物件に住むことを仕事にしているりさ子。転居を繰り返す生活で、自分自身を見失っていた中、巡ってきた場所で新しい自分の世界を見つけて行くようになる。… 淡々と流れていく日々の中、りさ子さんの少しずつ前に進んでいく気持ちが分かるようで、入り込んで読みました。過去と決別した主人公が、自分を取り戻していく再生の物語をいくつか読んだように思いますが、どれも淡々とした語り口のものがリアリティーがあっていいですね。今後、りさ子さんが幸せになれそうだなと思える終わり方に、気持ちよく本を閉じました。

2015/10/15

itica

事故物件の部屋に一時期住み、ロンダリング(浄化)する。それが離婚し、行くあての無いりさ子が選んだ仕事だ。心に傷を負った彼女には、あまり人と関わらずに済むこんな仕事は楽なのかもしれない。でも目立たず角を立てずにこやかに暮らし、何ヶ月かしたらまた別の場所に移る、何だか浮草みたいだ。空しいな。誰かに頼ったり頼られたり、心の底から笑ったり本気で怒ったり、そうした暮らしが本当の意味で生きているってことじゃないのかな。少しずつ変わり始めたりさ子には、きっと明るい未来が待っているはず。そう思いたい。

2016/10/30

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