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怖い患者

怖い患者

怖い患者

作家
久坂部羊
出版社
集英社
発売日
2020-04-03
ISBN
9784087717082
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「怖い患者」のおすすめレビュー

「我ながら毒気の強い作品ばかり」と著者もつぶやく!現役医師の久坂部羊が紡ぐ強烈にブラックな短編集『怖い患者』

『怖い患者』(久坂部羊/集英社)

“本書はフィクションです”

 実話でないことは最初からわかっていたにも拘わらず、『怖い患者』(久坂部羊/集英社)の最後のこの一文を読んで安心した。どの短編小説も実際にありそうな出来事が描かれているからだ。そのリアリティの土台になっているのは、著者久坂部羊の医師としての知識と経験である。

 収録されている小説のひとつ「注目の的」で、「ミシュリン」という抗ウイルス剤が登場する。ミシュリンのせいで大学職員の希美は、想像をはるかに超えた混乱に巻き込まれる。

 前半で希美が同僚からミシュリンの話を聞くくだりは背筋が冷たくなった。

“ミシュリンはアメリカで開発されたヘルペスの抗ウイルス剤で、効果は抜群だけど、最近、副作用が問題になってるらしいです”

 聞いた後、希美はインターネットでミシュリンについて調べる。そこで出てくる内容を知ると、本当に同じような抗ウイルス剤があるのではないかと勘ぐってしまう。

「ご主人さまへ」は、アルミニウムに怯える妊婦が主人公だ。有害ミネラルとされるアルミニウムは、胎児には影響はないそうだが、序盤から彼女は家中の…

2020/6/8

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怖い患者 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

starbro

久坂部 羊は、新作中心に読んでいる作家です。本作は、医療イヤミス連作短編集でした。オススメは、『蜜の味』です。http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/200402_book01.html

2020/08/07

utinopoti27

久坂部氏といえば、医療現場に向けたシニカルな視点をベースに、医療関係者や患者を題材にしたブラックな小説を発表し続ける作家だ。この短編集では、心を病んでドクターショッピングを繰り返す女性の話『天罰あげる』が目を引く。妄想炸裂、狂気の矛先を向けられる医者は、たまったものではないだろう。異常行動を正当化する思考回路が、一人称の語り口で生々しく伝わってくる。他には、薬害訴訟に巻き込まれる女性を描く『注目の的』のオチもいい。徹底して毒をまき散らす「読後感最悪小説」との触れ込みは伊達じゃない。他人の不幸は蜜の味か。

2020/10/05

🐾Yoko Omoto🐾

シニカルやブラックなどという生易しいものではない、読んでいるこちらまで病みそうになる読後感最悪の短編集だった。物語の全てが精神的な病をベースに書かれており気が滅入る。診断や病名に納得できない、全てが順調すぎて極度の不安に陥る、などの不気味な心理状態を描いたものから、デイサービスで揉め事が絶えない老人たち、疫病利得に追い詰められていく女性の顛末まで、思い込みや被害妄想、疑心暗鬼も、度を越すとこのようなことになるのかと、ただただ恐怖だった。面白かったと言う以前に、余りにもキツすぎないか…と言いたくなる一冊だ。

2020/10/26

ごみごみ

サクサク読める、でも薄気味悪い短編が5話。妄想が過ぎて暴走する患者。順調すぎる人生に自ら罰を下す医師。疑心暗鬼がはなはだしい妊婦。善悪の判断がつかないはずなのに悪意むき出しの老人たち。なりすましの疾病利得者。みんなちょっとずつ狂ってる。かなりブラックだけと実際にありそうなのが怖かった!

2020/06/20

モルク

ブラック患者を扱った短編集。中でも「老人の園」は、これに近いことはあるかもしれないが、それにしても…。経営の安定のため自らのクリニックにデイサービスを併設した医師。老人たちは自我が強く、自分より弱かったり動きが遅かったり障害を持っている人を疎む。自分のことは棚にあげ、人のことをとやかく言ううるさいおじんやオバンはよくいるよね。問題が起こっても、彼らが「お客様」であるが故に医師は強く言えず八方美人に振る舞う。そしてそれがあだとなり…。人間が怖い!これはブラックというよりホラーだ!

2020/07/25

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