私の名はナルヴァルック
私の名はナルヴァルック / 感想・レビュー
こばまり
私は目下、WWEにおける中邑真輔氏の活躍にときめく者の一人だが、異郷の地に居場所を見つける人に無性に憧れる。著者はアザラシを解体中、生肉を口に運んでエスキモーにたしなめられる程の人なのだ。アラスカに対するアメリカ政府の冷酷な失政、同化政策の恐ろしさを改めて知る。
2017/05/03
景
前著でユーコン川をカヌーで下った著者が本書ではエスキモーの暮らしの中に混じって、捕鯨文化などを体験する。伝統的なエスキモーの暮らしの中に入ってきた現代のアメリカの西欧文化というものを考えさせられた。またチャリオット計画やシベリアに核廃棄物が捨てられていること、石油利権が入ってきていることなども初めて知った。温暖化よりも寒冷化の方が怖いという現地の人たち。捕鯨文化への風当たり。これは日本の捕鯨やイルカ漁のことも考えさせられる。でも捕鯨をしないとここに暮らす人たちは生きていけないのだ。
2011/03/06
こざるん
「ウーマン・アローン」で強い感銘を受けて手に取った、廣川さんのもう一作。極北のアラスカの村で、エスキモーの村人と共に過ごした数か月間の物語。自分はたった2日間だけど、アラスカのアサバスカン民族の村にホームステイをしたことがあるので、村人たちの暮らし(大した産業はなく、補助金で暮らしている)のうら寂しさなどは手に取るようにわかる。そしてクジラ漁がいかに村人たちにとって大切で重要な文化(ここでいう文化、というのは食や生活にとても密着した意味で)なのかということを改めて思い起こさせられた。
2016/11/08
かず
本当に聞いた事もないようなエスキモーの料理がたくさん出てきて、どんな味なのかと想像をたくましくさせられました。ただ、料理を含むエスキモー文化が凄い早さで消失しつつある様は寂しさを通り越して悲しくなってしまいました。
2011/09/07
katta
開高健賞の『ウーマンアローン』から6年。今回はエスキモーのある村に腰をすえ、四季の遷り変わり、狩猟、食事の支度など人々の生活に根を下ろし、環境問題や世代間格差など身近な問題も正面から取り組んだ作品。以前の作品のように自己主張が強すぎず、地域の中に入り込みmそこから発信する意見は聞くべきものがある。なかなかいいと思う。
2010/09/17
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