猫沢家の一族
「猫沢家の一族」のおすすめレビュー
ミュージシャン・文筆家の猫沢エミが、破天荒な家族と過ごした子供時代の思い出を吐露。めちゃくちゃだった親を“笑ってゆるす”姿に心が浄化された
『猫沢家の一族』(猫沢エミ/集英社)
『ねこしき』(TAC出版)が版を重ねた、ミュージシャンであり文筆家の猫沢エミさんが、地元の福島県白河市で過ごした家族との思い出を、最新刊『猫沢家の一族』(集英社)の中で語っている。
カバーには、写真スタジオで撮影されたとおぼしき正装の家族写真がドドンと大胆に掲載されている。この写真を見た人は、“これが猫沢家の一族か~。…んんっ?”とお父さんの頭部を二度見するに違いない。“これはもしかして………ヅラ?”。
そう、このヅラこそが本書のキーワードなのだと、猫沢さん本人も本書についてのインタビューで語っていた。『ねこしき』などの著書では、感度が高く愛情が溢れていて時に切ない、飼いネコのことや素敵な友人関係、物語性に満ちたレシピ、そんなものたちに囲まれたパリ生活を披露している猫沢さん。どんな家庭で生まれ育ったのか気になっているファンは多いと思うが、これが、予想の斜め上をいく奇天烈なご家族なのである。
●家族の思い出を綴った本書のキーワードは“ヅラ”!?
さきほど触れたヅラのお話は本書にいくつも記されているが、その中でも猫沢…
2023/12/24
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撮影:関めぐみ
故郷・福島の両親を看取り、2022年2月から再びパリに渡った、ミュージシャンであり文筆家の猫沢エミさん。移住には「長い猫沢家の歴史の清算」という意味が少なからずあったとか。
最新エッセイ『猫沢家の一族』(集英社)には、猫沢さんが家族と過ごした幼少期から青春時代にかけての追憶が、現在暮らすパリの日常と共にユーモラスに綴られている。
“ヅラ”で裸族かつ虚栄心の塊のような父、いとも簡単に嘘をつく母、誇大妄想が激しくエキセントリックな言動を繰り返す祖父——今は亡き、奇想天外だけれど、どこか愛嬌のある猫沢家の先代たち。一見すれば苦難の連続とも言える思い出を、彼女は明るく笑い飛ばす。
家族のこと、フランスのこと、そして「自分の人生を生きる」ことについて、猫沢さんに聞きました。
「風呂(バス)ガス爆発」や「腐ったみかん風呂」がスタンダードだった猫沢家の不思議
——先代のエピソードはどれも規格外で、こんな家族が本当にいるのか…と驚かされました。おじいちゃんが腐ったみかんがもったいないからと、お風呂に入れた話とか。
猫沢エミ(以下、猫沢):カビの匂いがす…
2023/12/23
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猫沢家の一族 / 感想・レビュー
さくら咲く
最初は笑い涙、そして最後には…。これが全て実話とは!! 著者、エミさんは生きる事に卓越している。弟さん達もだ。良くぞここまで無事に乗り越えて来られましたねと。それにしても最後の最後までビックリが止まらない。余生が幸せでありますように祈らずに居られない。
2024/05/06
スリカータ
ネコのエッセイがとても良かったので、新刊のこちらを読んでみたけど、家族の破天荒さも読み進めると、予定調和的で飽きてしまった。旅芸人一家と間違われた顔面の立つ家系。確かに面白いけど、後からじわじわ来る面白さでは無い。ただ、体育館の幽霊の話はゾクッとした。霊感体質は遺伝するのか。
2023/12/10
あざすたしあ
パリや料理や猫を書くのが得意なエッセイストでパーカッショニストの著者。福島県の呉服屋の娘として育った彼女の実家は、ぶっ飛んだ家族だらけのとんだ一族で…という、家族エッセイ。こういうの、書いている本人が「ぶっ飛んでるでしょ」って自覚で書いてると面白さが半減しちゃうんだよな。お笑い芸人が真顔で演じたほうが見てる方は笑える、みたいなことって文章にもあると思う。なので「うちの家族はこう」って淡々とした筆致でえがいたほうが家族のぶっ飛びっぷりが際立ってもっと面白かった気がする。
2023/11/06
keiko
本を読みながらこんなに大爆笑(ホントに)した事が今まであっただろうか。 著者のインスタをいつも楽しく拝見しているのでずっと気になっていた本作。 期待を裏切らない内容です。
2024/01/11
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